リトルニコ爺の手記

わかばだいとかいうハンネでTwitterをやってる人が昔やってたYahoo!ブログから引き継いでリスタートした沼みの深いブログ。

機材紹介:Nikon F2 フォトミック

今週のお題「下書き供養」

……ということなので、以前に書いて(なぜか)投稿してなかったのを投げていきます。中の人熱しやすく冷めやすいので仕方がないのかもわかりませんね。ノリと勢い、大事です。

 

いつの時代もフラッグシップ機というのは憧れの的でありまして、それは「現代の」機に留まりません。むしろ銀塩時代のそれは、時代の影響を強く受けつつも絶対的な信頼を誇り「名機」と数えられるものがほとんどです。

今回はニコン二代目のフラッグシップ銀塩一眼レフカメラNikon F2についてつらつら書き留めていこうと思います。

 

f:id:trains552259:20201002193835p:plain

Nikon F2フォトミック(AS-1/AR-1/CH-5の一部) + NIKKOR-H Auto 1:2 f=50mm

スペック

135フィルム用(ライカ版)マニュアルフォーカス一眼レフカメラ

機械式チタン幕横走りフォーカルプレーンシャッター Tタイム/B, 1″~1/2000″(タイマー併用で10″までの長秒シャッター使用可・1/80″以上の高速シャッターで中間速使用可・全速マニュアル操作)

ニコンFマウント系・ファインダー交換方式 [露出計非搭載(アイレベルファインダー・ウエストレベルファインダーほか),(開放F値半自動入力)旧連動方式(フォトミック・フォトミックS・フォトミックSB), Ai方式*(フォトミックA・フォトミックAS)] ・ミラーアップ可(空写し不要)・被写界深度確認可

露出計連動(露出計搭載ファインダーに限る)(中央部重点測光・指針中央合致式マニュアル露出**)(使用電池:SR44かLR44 2コ・本体底部)

*) 非Aiレンズでも押し上げて装着可・絞り込み測光が使用可

**) 一部ファインダーにEEコントロールユニット併用でSS優先AE使用可

 

生い立ち

完成された一眼レフカメラとして世に送り出された伝説の一眼レフカメラNikon Fの後継機として(?)登場した最上位機。FはそのデザインがほとんどそのままSPから流用されたが、F2では一眼レフとして使いやすいように各所が改良された(たとえばレリーズボタンが本体前側に移動)。また電池が本体側の格納のためフォトミックファインダーを装着した見た目もスリムに(Fのフォトミックファインダーの類はファインダー側に電池を入れるためよけいにごつくなっていた)。シャッターメカはFと全く異なっており、幕速が強化され、機械式ながら最高速シャッターが1/2000に。最後の機械式フラッグシップ。時代背景から露出計を搭載しないアイレベルファインダー・旧連動方式で露出計連動するフォトミックファインダー・Ai方式で露出計連動するフォトミックファインダーとが存在。また(わりと強引だが)専用装置をつけることでEEカメラにもなる。

 

操作・使い勝手

フォトミックファインダーDP-1を装着した「Nikon F2 フォトミック」についてです(なぜならそれしか持ってないから)。

開放F値の入力は、カニ爪つきレンズをf/5.6の状態で取り付けて開放位置まで回してあげれば完了。最小絞り側に回す必要はありません。ただしレンズを外したら連動ピンを指で押し上げてリセットしてあげるひと手間があります。Nikomat系列のガチャガチャとは少しだけ操作が違いますが、フラッグシップ機ユーザーの特権と思えば。

露出計はシャッターチャージレバーの予備角がスイッチになってます。赤い丸が見えるときにスイッチオン状態。ファインダーのマウント側上部の銀色のボタンを押すとファインダー上部の露出計窓の針が適正露出の位置に来る時に電池残量OKの状態です。チェッカ機能便利ですよ。

上の通り、ファインダー上面で露出計を確認できます。もちろんファインダー内でも。ただファインダー内表示は上部から採光するので、暗いところでは使い物にならないかもしれませんね。もっとも暗いところでは使いませんけど。気になるならフォトミックイルミネーターをどうぞ(珍品)。

ファインダー内には下の方に撮影F値・SS・露出計が表示されます。撮影F値表示は歯車で動いており、日本の技術力を垣間見ることができます。実用としても申し分ありません。大変便利です。

シャッターロックはレリーズボタン外周。引き上げながら回します。Lがロック、Tがタイム(SSをB位置にして使用)、中間位置が通常撮影状態。レリーズアクセサリとしてはAR-1が有名。二千円くらいする…

f:id:trains552259:20201002194319p:plain

AR-1を装着した状態

セルフタイマーの外周には2~10まで2刻みで数字が刻んであります。秒数です。最大180°回転するんですよね。タイマーを使うときには、タイマー元位置の下にあるボタンでスタートしましょう。長秒撮影では、SSダイヤルをB、レリーズボタン外周をTにした状態でシャッターを切る(レリーズボタン使用)ことで、10秒まで切れます。

被写界深度確認は中指の位置。Nikomat ELと同じです(ELの方が倣ったのでしょう)。ボタン外周のレバーを押しまわすとミラーアップします(本体側の印とレバーの印を合わせるまで回しましょう)。ちなみにミラーアップすると絞り込み状態になります。開放にしておく意味もないですからね。

Nikomat ELはペンタカバー上にホットシューが標準搭載されましたが、F2はまだ独自規格(?)。巻き上げレバーの上にかぶせるように装着するよう。ガンカプラーAS-1を使用すれば一応現代規格のホットシューが使えます。詳しいことは知らん。

巻き戻しクランクは引き上げが二段階で、裏蓋が閉まっている状態では一段階目までしか引き上げられません。パトローネの固定は継続されています。これは巻き上げやすくする工夫だと思われます。裏蓋を開けると二段階目まで引き上げられ、パトローネを取り出せます。

裏蓋は本体底面のネジで開きます。時代的には珍しくフィルムローダーに対応している機種らしい。蝶番式の割にはネジ(?)がレトロでいいですね。ただしパトローネを取り出す際には、裏蓋ネジをO(Open)側に回しておく必要がありますから留意してください。C(Close)側だとうまく取り出せません。あと裏蓋にメモホルダーがついているのも良。

撮影する際に、SSダイヤルを回すのに右手を上に動かさなければいけないのですこし面倒かも。じっくり露出を決定して撮影します。少し時間かかるかも。まあ機械式カメラってそういう物ですからね。速写性はF5あたりに求めてください。

シャッターを切る感覚は非常に気持ちいいです。シャッターチャージも軽く(個体差あり)(分割巻き上げ可)撮っていて心地よい。底面の巻き上げロックボタンを押下すれば次のシャッターチャージの際にコマ送りがされなくなる&撮影枚数表示も更新しないので多重露光もしやすい。やはりフラッグシップ機ですな。なお巻き上げレバーやセルフタイマーレバーには指当てがついていて、ソフトでモダンな仕上がりです(この小改良はNikon FやNikomat FTNにも適応されており、改良後のNikon FはニューFとか呼ばれてるらしい)。

 

ところで、ブラックのF2にフォトミックファインダーの組み合わせ良すぎません?全体の色が統一されてて非常に締まったイメージです。レンズ鏡筒のシルバーがアクセントになって全体の美しさをより引き立たせています。ジウジアーロの赤アクセントも好きですが、「質実剛健」のイメージを体現するかのようなこの日本風な(?)カッチリした、それでいて角の取れたモダンなデザインもなかなか芸術的で素晴らしいものです。どうです?良くないですか?

 

あとがき

やはりフラッグシップ機、道具としてのカメラとしてとても扱いやすいです。Fで不便だった(であろう)ところがスッキリ改善されており、比較的現代的で癖のない仕上がりになっています。実用向け(特に旧連動)に考えるならまず一番にオススメしたいカメラです。Aiレンズを主に使うならばフォトミックAかASを使えばいいし、古典的に外部露出計を使いたい・すっきりした美しいフォルムを味わいたいならアイレベルファインダー(もっとも、古典派ならFかS型あたりを使う気もしますが)を…と非常に遊び方も広く、機械式で趣味性も高い上に、ファインダー内での撮影F値の確認が出来たり1/2000"が切れたりするので実用性も十分。F・F3・FMなどに並んで、ニコンのフィルム機に沼る上でぜひ一度は触れてほしいカメラですね。というかF3並みの人気が無いのが不思議でたまらないほどです。現代のカメラにゃつかないNIKKOR Autoレンズなんてのもまた乙なものですよ(そのうちレビューあげます)。