リトルニコ爺の手記

わかばだいとかいうハンネでTwitterをやってる人が昔やってたYahoo!ブログから引き継いでリスタートした沼みの深いブログ。

使用雑感:1 NIKKOR 18.5mm 1:1.8

ここに最強のスナップシューターが完成したかもしれません。

1 NIKKOR 18.5mm 1:1.8

Nikon V1 + 1 18.5/1.8
型式 1マウントレンズ
焦点距離 18.5mm
最大口径比 1:1.8
レンズ構成 6群8枚 うち非球面1枚(凹+変形ガウス
全画角 46°40′(換算50mm)
最短撮影距離 0.2m
最大撮影倍率 約0.12倍(換算約0.32倍)
絞り羽根 7枚(円形)
絞り f/1.8-16
フィルターサイズ Φ=40.5mm
指定フード HB-N104別売
記事 AS STM RF

3本リリースされたニコン1マウント用単焦点レンズのうちの1本です(他は10/2.8と32/1.2)。ズームレンズの多いニコワンにおける貴重な標準単焦点です。

レンズデザインは他のローエンドレンズと同様の非常に簡素なもので、鏡筒には操作できるものが何一つありません。絞り・フォーカスすべてカメラ側で操作します。

ちなみに上の写真でついてるフードはHB-N101で、10-30用のやつです。ないよりはいい精神でとりあえずつけてます。HB-N104はAI 45/2.8P用みたいなフジツボ型ですね。

 

光学系を眺める

光学断面図

AF-S DX 35/1.8G 光学断面図

このレンズの光学系、実はAF-S DX 35/1.8Gにそっくりです。DXが2009年3月の発売であるのに対し、ニコワンは2012年11月の発売。この間にちょっと進歩したのか、最短撮影距離が0.3mから0.2mに短縮されています。わかりやすい差異だと、最終レンズの形状がやや異なります。

trains552259.hatenablog.com

実はDX 35/1.8G持ってます。D5300につけて使わねば。

 

総評

一日軽く使ってみましたが、これが極めてよいです。

ニコワンの魅力といえばなんといってもその小型軽量さ。さらにミラーレスならではの全画面測距、1型センサーの画質。この特徴を最大に生かせるのがこのレンズだと思います。明るさのおかげで小型センサーについて回る高感度耐性の厳しさとボケの小ささをカバーできるのも魅力です。

10-30の評判がまあよくない(画質もそうだし重篤な持病もある)ので、もうこっちがニコワンの事実上の標準レンズということでいいのでは?とさえ思います。

趣味性も高いですし、実用性も十分。おまけにけっこう寄れる。DX 35/1.8Gで目立った色づきも少ない。10/2.8と並んでニコワンボディにつけっぱなしにしておくのに最適なレンズです。(おまけに10-100も持っておけばかなりの場面に対応できます。)

 

作例

ちょうど暇を持て余していたときにニコワンと18.5を持っていたので、竹橋から銀座まで歩いて向かいます。作例は特記なき場合f/5.6で撮影しています。ISOはオート400です。

東京国立近代美術館(S1, f/1.8)

広角で全部写し込みたい気持ちも山々ですがここは一発標準単のみで。ここからの出発です。ちなみにS1にはEVFがない代わりに自動歪み補正が載ってます。

さすがに晴れの日にLCDのみは厳しく、操作にも慣れていなかったのですぐにV1に付け替えました。

竹橋(S1)

内堀通り竹橋周辺

平川橋(f/8)

平川橋周辺(f/1.4)

EVFでもLCDでも全く同じようにAFが効くのは気持ちがいいの一言ですね。開放からなかなかの解像感です。後ボケに二線ボケや口径食の影響がみられますがこんなもんでしょう。

平川橋周辺

和気清麻呂像(f/2.8)

内堀通り気象庁前周辺(f/1.8)

ちょっと挑戦的な構図にチャレンジ。今更気づいたんですが将門塚ってこのへんだったんですね。見ておけばよかった。

つまめば持てる軽さのおかげで縦構図も楽です。ずーっと片手だけで撮れます。

内堀通り気象庁前周辺

山茶花(f/1.8)

開放で寄ってサザンカを。なかなか解像しています。ちなみにオートエリアからシングルスポットに変更して撮りました。

内堀通り大手門交差点

内堀通り大手門周辺

V1には自動歪み補正が未搭載のため、レンズの歪曲収差が写真に残ります。このレンズもDX 35/1.8Gと同様タル型の歪曲があります。

内堀通り大手門周辺

桔梗門・巽櫓

マダムたちに頼まれ記念写真を撮りました。観光地に来た気分ですが、よく考えたら観光地でしたね。都民も歩いておいて損はないです。

とは言いつつ背後にある和田倉噴水公園をスルーしてしまったのが無念。

行幸通り

高層ビルが辺り一面に立ち並ぶ中にどっしり構えるレンガ造りの東京駅丸の内駅舎はドチャクソかっこいいです。秋には銀杏並木が美しいとのこと。ちなみに東京駅丸の内駅舎は千夜一夜の作例撮影地なのでまたこんどゆっくり撮影したいところです。

行幸通り

行幸通り

外堀通り皇居外苑

高層ビル群を背景に松を拝めるのは世界を見渡してもここだけなのでは。

マツ(f/1.8)

二線ボケが少しうるさいかも。解像感は上々です。

皇居外苑

皇居外苑

ダイナミックレンジはさすがに1型センサーといった感じです。

丸の内警察署皇居前警備派出所

馬場先門周辺

歴史的建造物まみれの激渋エリアに突入です。ちなみに立っている場所は千代田区皇居外苑、〒100-0002です。〒100-0001は千代田区千代田1で、ズバリ皇居。向こうは〒100-0005 丸の内三丁目です。

国道1,20号線馬場先門周辺 日比谷駅(有楽町駅・二重橋前駅

頑張れば東京・大手町・銀座・東銀座駅にも地下道だけで行けます。

ブライダルフォト撮ってる新婚さん夫婦とカメラマンがいました。このままブライダルフォトの名所・行幸通りまで行くのでしょう。

国道1,20号線馬場先門 明治生命館

国道1,20号線日比谷通り 帝国劇場・第一生命館

惜しくも解体されることになっている帝国劇場の隣には、GHQの本部があったことでおなじみの第一生命館。歴史的建造物がこの間隔で並んでいるのが日比谷の怖いところです。背中には皇居ですからね。

国道1,20号線日比谷通り 日比谷周辺

日比谷交差点

日比谷交差点

いずれも4桁人を収容する規模の有名な劇場です。この密度であるのやばくないですか。

ちなみに日生劇場の隣には帝国ホテルがありますし、この標識の向こう側は日比谷公園です。皇居大手門周辺だけで一日は余裕で観光できます。

銀座ファイブ(銀座数寄屋橋・有楽町 東京高速道路高架下)

数寄屋橋交差点

やっと中央区に入りました。実はここまでずっと千代田区内。皇居も東京駅も国会議事堂も首相官邸最高裁判所国立劇場も神田も秋葉原も神保町も永田町も日比谷も麹町もぜんぶ千代田区千代田区は最強。中央区中央区で銀座・京橋・日本橋などを擁する最強の区です。

すずらん通り

銀座四丁目交差点 旧三愛ドリームセンター

三愛ドリームセンターが無くなってしまうのはなんとも悲しいです。地味に千夜一夜の作例聖地だったりします。

東京地下鉄銀座駅入口

ノールックで。

銀座駅構内地下 松屋銀座周辺

f/5.6でも寄ればまあまあボケます。

Nikon EL2 + AI NIKKOR 35mm 1:2.8

最後は何の脈絡もない物撮り。換算の撮影倍率が0.32倍と高いので、ちょっとした物撮りは問題なくこなせます。ただし50mm級だと被写体が歪むという話もあるので(上の物撮りも無駄にパースペクティヴが強調されているように見える)、微妙といえば微妙ですかね。フルサイズで105mmマイクロを使ってください。

 

宣伝

ここまで読み進めてきてくれてありがとうございます。いつもの宣伝タイムです。

「今こそ愛でようニコン1」京浜学生写真機愛好会|メロンブックス

ニコワン本1を委託中です。そのうち2も出せたらいいね。1がたくさん売れれば2が出ます。よろしくお願いします。

日本初のスチル用ズームを買った話

世界初のスチルカメラ用ズームレンズといえばかの有名なVoigtländer Zoomar 36~82/2.8ですよね。翻って日本初の標準ズームといえばこれまた有名な「ヨンサンパーロク」Zoom-NIKKOR Auto 1:3.5 f=43~86mmですよね(ツッコミたくなる気持ちは堪えておいてください)。

では「日本初のスチル用ズームレンズ」はなんでしょう?

 

Auto NIKKOR Telephoto-Zoom 1:4 8.5cm 〜 1:4.5 f=25cm

Auto NIKKOR Telephoto-Zoom 1:4 f=8.5cm ~ 1:4.5 f=25cm (2nd)
発売 1959年
型式 ニコンFマウントズームレンズ
焦点距離 85~250mm
最大絞り 4〜4.5
レンズ構成 8群15枚
ズーム構成 凸凹凸凹凸
最短撮影距離 4m(専用クローズアップレンズ使用時2.2m)
最小絞り 16
アタッチメントサイズ φ=82mm
質量 1.8kg
フード (名称無し)

1959年といえばNikon Fが発売されたその年です。なんなら上に挙げたZoomarも1959年の生まれ。長いバックフォーカスを持つ広角レンズの設計にすら苦心していた時代に、実用的な望遠ズームレンズが発売されていたことには驚きを隠せません。

日本光学はこの後1961年にAuto NIKKOR Telephoto-Zoom 1:9.5 f=20cm 〜 1:10.5 f=60cmを発売、Auto NIKKOR Wide-Zoom 1:2.8 f=3.5cm 〜 1:4 f=8.5cmを発表します。この3.5~8.5cmが幻のレンズで、発表こそされましたが量産されませんでした。ここから標準ズームに対する光学的アプローチをがらっと変えて誕生したのが1963年発売のZoom-NIKKOR Auto 1:3.5 f=43~86mmだったのです。

 

謎のNikonサイト

さてこのレンズ、ニッコール千夜一夜物語においては43~86の回で設計が樋口氏であると触れられている程度ですが、このレンズを専門的に扱った千夜一夜そっくりの記事があります。

183.181.162.36

英語版ページで、Nikonのロゴもあります。このページ下部にはニコンカメラ修理でお馴染みのKiitosさんの名前もあります。しかしURLがIPアドレスそのままであったり更新が2013年で止まったり、なんか変です。とはいえ偽物とも思えません。思うに、2013年まで使われていてその後放置されている旧ニコングローバルHPなのではないでしょうか。

それでこのページ、英語であるのが欠点ですが他にも極めて貴重な情報がたくさんあるので、時間があったらご覧ください。(というか日本語に移植してくれない……?)

 

いつ発売?

海外版の上の記事によると、Nikon Fの発売は1959年4月(April)。しかしながら日本語ページでは6月ということになっています。もしやこの時代から海外に先行して発売していたのでしょうか?

それでこのレンズも国内外で発売時期が異なりそうな雰囲気があります。記事では8月、他の日本語のソースでは11月となっています。

いずれにせよこのレンズが1959年というニコンFにとってのメモリアルな年に発売されたことは間違いなさそうです。

 

光学系

光学断面図

手書き断面図
25cm(上)/8.5cm最短+クローズアップフィルター(下)

せっかく光学断面図が公開されているので眺めることにしましょう。このレンズは8群15枚、ズームしてもレンズ全長が変わらない形式のズームレンズですが、この時代はまだ4群アフォーカルズームは採用(発明?)されていませんでした。ズーム2群と4群、どちらも凹群ですが、これを像側に動かしてズームします(機構図を見る限りリンクして動くらしいですね。この時代のズームレンズによく見られる、未熟だったカムの使用を抑える鏡筒設計への配慮です)。

というか専用のクローズアップフィルターが付属しているらしいんですよね。見たことのある方いらしたらご一報お願いします(笑)。

 

さてこのレンズ、非AIといえば非AIなんですが非AIレンズをAIボディ等に装着するときに問題になる箇所に絞り環がないため、普通にAIボディに装着できます。露出計こそ連動しないですが露出補正でゴリ押せるのでなんとか使えます。気が向いたら試写してきます。ただギリギリ手持ちで撮影できるかなくらいの重さ・大きさのレンズなのでやる気になるまでには時間がかかりそうです。

2024年ほしいもの改

いつの間にか1月終わってました。わかばだいです。

trains552259.hatenablog.com

最初っからふわふわしてましたよね?それもそのはず、何も考えずに投稿したからよく分からんことになっているのです。だんだん本当に欲しいものが明確になってきたので書き直します。

 

D7100 or Z 50

www.nikon-image.com

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どういう二択だよ!と言われそうですが、簡単に言えばDXフォーマットで近代的かつ高性能なキットを完成させたいのです。そのためのボディの候補としてこの子たちが選ばれました。

まずなぜDXなのかということですが、性能的にも将来のZへの乗り換え的にもレンズ内モーターレンズを重点的に使いたい中で既にDXのレンズ内モーターレンズがかなりそろってきているところ(逆にFXのレンズ内モーターレンズはAI AF-S 80-200/2.8Dしかない)、DSLRでフルサイズはAF測距点が周辺になくてかなり厳しいところあたりがあります。画質的にもDXあれば割と十分だと思うんですよね。

そして今DXボディはD70, D80, D200(E), D200(L), D5300と持っているわけですが、画素数的にも画質的にもさすがにCCDは厳しいと感じるのでCMOS、となるとD5300しかいないのです。D5300自体は使い勝手もよく画質もなかなか侮れないのですが、ファインダー内水準器がない・スロットが1つ・ダハミラー機なので16-85とかつけるとフロントヘヴィーになる・そもそも2台ほしい、というところでもう一台!となったところです。

でなんでこれまたよくわからない二択になったのかというところで、D7100は昔使っていたので信頼がおけるところと肩液晶の表示内容が充実してた最後の代なのが気に入っています。だからD7000でもD7200でもなくD7100なのです。ちなみにこの子のためにわざわざキットのAF-S DX 16-85G買ったっていう過去もあります。

Z 50のほうは、Zの小型軽量さ(特に「薄さ」)を買ったところと、今更D500行くならグレードは落ちるけどZでしょ、というところと、Z fcにはFnが1つしかない/Z 30はEVFがないというところでZ 50なのです。まあD7100の倍くらいはするのですが。瞳AFとかはZ本当にすごいですよ。16-50キットで買うかな。余裕があればCOSINA Voigtländerとかも使いたいかも。

 

AF-S DX 12-24/4G

www.nikon-image.com

なぜ未だにカメラ側AFのフィルム時代のレンズが主力のD600をオールド母艦だけでなくメイン機として使っているか。それはDXフォーマットの超広角レンズを持ってないからです。New NIKKOR 20mm 1:4(AI改)のためだけにD600を主戦力としていると言っても過言じゃないです。それほど超広角は大事。

AF-P DX 10-20Gのほうが小さくて軽くて画角も広くてお値段もほとんど変わらないからそっちにした方がいいのは分かってます。分かってますけど、千夜一夜玉・初めてのDXレンズ・佐藤治夫氏、そういったロマン(?)を追い求めたい。だからこその12-24です。

ボディとこのレンズさえあればDXキットはほぼ完成と言ってもいいと思います。早いうちに揃えたいところ。

 

高速なSDカード

www.biccamera.com

実は先日からZ 6をお借りしているんですが、重い形式(RAW + FINE[L])でバシャバシャ撮っても書き込みが速いおかげで全然バッファがいっぱいにならくて感動しました(横でD600は全然処理が終わらず10秒に1枚みたいな悲惨なペースで撮影する羽目に)。それでXQDカード信者になろうとしたんですが、よく考えたら使っていたSDカードのスピードがR80MB/sとかだったんですよね。使っていたXQDがR210MB/sなわけです。倍以上も違えばそれだけ差は出ますよね。だからR200MB/s出るカードを一枚は持っておきたいのです。

ただ結構お高い……

<R06.2 追記>よく考えたら最大312MB/sのUHS-IIを採用しているスチルカメラってそんなに多くないので、結局のところ記録媒体としてSDカードを採用しているディジタルカメラにおいてはそのほとんどでUHS-Iの最大104MB/sを超えられません(カメラの仕様をご確認ください)。

上のカードの128GBモデル買っちゃってから気づいた訳ですが、まあUHS-I規格上限で動く後方互換性あるらしいのでヨシとしましょう。おまけにUHS-II対応のリーダライタを買えば高速で吸い出せます。

 

Nポルダ

www.nitori-net.jp

現在絶賛汚部屋整頓事業推進中です。部屋の物の絶対量を減らすとともに収納力を向上しようという二つの方針で計画を練っています。それで今ブラウン管TV用のテレビラックがあるところに代わりに入れる収納を探していたところでこの子を見つけました。

奥行き30cmのスチールラックでもよかったんですが、見て買えないしどこで買えばいいか分からんしで手が出ず、値段そんなに変わらず転用も効くこれにしようと思っています。つっぱり形式だから耐震の用具を別に買う必要がないのもポイント。

最終的には2連か3連にするつもり。部屋としては机の向きを変えたり大掛かりな変更を見込んでいます。

 

いいイス

これも部屋更新のなかで取り入れたいもの。今のイスがカス過ぎてキレそうなのである程度座り心地のいいのに変えたいです。

 

モニターアーム

机を動かすとこういったものを使えるようになるはず。

現状テレビをモニター替わりに使ったりしているんですが、さすがに画質悪いのでちゃんとしたモニターをモニターとして使いたいです。

 

Bluetoothスピーカ(Windows対応)

でモニターアームに手持ちのモニターをつけたところで、そのモニターにスピーカがついてないんですよね。ご存知の通りLet's Noteのスピーカの音量はめっちゃ小さいので家にいるときぐらいちゃんとした音が欲しいのです。

バブカセはあるからBluetoothレシーバ(?)だけつけるとかもアリかも。

 

モバイルノートPC

強いて言えばパソコンも更新したいですね。今使っているPC(i5-7330U, RAM8GB, SSD128GB)でも不満ないと言えばないですが、NX Studioとか開くと結構メモリ使用率とかCPU使用率とかが悲惨なことになります。あとぼちぼち筐体にヒビが目立ってきました。バッテリーの持ちもいいとは言えない(交換できるけど今更買うのも微妙)。できれば……できれば更新したい……USB-Cで充電したい……

 

いい枕

実はまともな枕持ってないんです。クッションで寝てます。

www.seiko-clock.co.jp

寝つきが悪い&寝起きも悪いのダブルコンボに苦しめられてきましたが、後者は最近中古で買ったウルトラライデンのおかげでわりと克服してきました(アナログ式なので設定しやすいが朝消し忘れると夜も虚無を起こそうとする)。なので寝つきも良くして最強になろう!という算段です。

でも中の人よくうつ伏せで寝てるからなぁ。

 

SB-N5

www.nikon-image.com

カメラに帰ってきました。

スピードライトを使いこなせるようになりたい。あとこれ使ってニコワンで優勝したい。

この子、カメラからの給電だしバウンスできるしで最強説あります。みんなもニコワンしよう。

 

SB-600

www.nikon-image.com

とはいえデカいのも欲しい。もうちょっと世代の後のものでもいいかも。

SB-600はすでに一つ持ってますが、スピードライトそのものが寿命のあるタイプのプロダクツらしいし多灯環境構築できればそれはそれでいいし。

 

宣伝

「今こそ愛でようニコン1」京浜学生写真機愛好会|メロンブックス

「自作京王時刻表」京浜学生写真機愛好会|メロンブックス

「ニッコール千夜一夜物語を振り返る vol.2 MFズームニッコールの進化」京浜学生写真機愛好会|メロンブックス

買ってくれると励みと財布の足しになります!!!よろしく!!!

2024年3月ダイヤ改正における「京葉線問題」の問題点と考察

問題があまりにも大きくなり、考えることも増えてきたので、単一の記事にまとめようと思います。

8000字を超えてしまったためアブストラクトを付けておきます。

 

アブストラク

JR東日本千葉支社は2024年3月のダイヤ改正京葉線のダイヤについて、朝夕のラッシュ時間帯に運行するすべての列車(特急を除く)を各駅停車にするとした。これに千葉県や千葉市をはじめとする沿線の自治体が反発し、最終的に3月からの改正ダイヤが変更されることになった。

この問題について、私はJR東日本の発表の姿勢、沿線自治体が批判することの是非、そして改正ダイヤが合理的であるか、の大きく3つの観点から考察した。

結論としては、JR東日本が批判を受けて発表後に一部変更する対応を取ったことは一定の評価ができるものの、発表の仕方やそれに至る道に不十分な点があることは否めなかった。沿線自治体がJR東日本の決定に「口出し」することは概ね肯定できると考えた。そして改正ダイヤは様々な観点から支持できるものではないと結論づけ、現実的な解決案をいくつか示した。

総合すると、JR東日本の鉄道に対する向き合い方には問題があるように見受けられる。

 

イントロダクション

京葉線問題」とは、JR東日本千葉支社が2024年3月のダイヤ改正京葉線のダイヤについて◇「通勤快速」を廃止すること、◇日中時間帯以外の「快速」を廃止すること(いずれも広報は「種別変更」としている)、および◇特急の減車・普通列車の減便を行うことを発表*1し、これに対して千葉県*2および県内のほぼ全ての沿線自治*3*4*5*6や経済団体*7が強く反発した騒動のことを指します。

論点は大きく分けて3つあるのではと思っています。一つは発表側として◇JR東日本の発表や対応について、受け手側として◇沿線自治体が「民間企業に」口出しすることへの是非、そして最後に◇このダイヤに正当性はあるか?という感じです。

 

JR東日本の発表や対応について

第一報の発表以前

この件について、市長の発言やニュースでのインタビューできかれた言葉に「唐突だ」というものがありました*8。確かに上記の大きな変更はプレスリリースまで明かされることはなく、「いきなりめちゃくちゃなこと言ってる」という印象を持たれるのは必至でしょう。その内容が沿線自治体にとって極めて重大なものであることも相まって、強く反発する自治体が相次ぐといった状況を作り出したといえます。

もしここで11月くらいに「京葉線の快速運転を大幅に縮小することを検討」とでもリークされて(させて)いれば、ここまでの深刻な対立は防げたのではないでしょうか。沿線自治体の反発の時期が前にずれるだけだったかもしれませんが、反発は多少なりとも和らげられ、少なくとも「発表後に変更に追い込まれる」事態は防げたはずです。

プレスリリースの内容

「快速通過駅の終日の乗車可能回数」(一部変更後のプレスリリースより)

プレスリリースの伝え方にも問題があります。淡々と説明を進めればいいものを、わざわざ快速通過駅の列車本数が増加することをアピールする表を掲載しているのです。多くの利用者にとってどうでもいい情報です*9し、そんなことよりももっと伝えるべきことがあるはずでしょう。

これはJR東日本の悪い癖だと思うのですが、サービス低下を伝える際にわざわざごく一部改良されるところを切り抜くなどして全体のサービスが向上するかのように見せかけるのです。最近だと、このダイヤ改正と同日に発表になった普通列車グリーン車の料金体系変更がそれです。このツイート*10を見ればグリーン料金が全体的に値下げされるように感じられますが、実際には「50km以下の平日事前」という限られた状況下でしか料金は安くならならず、ケースによっては倍以上値上がりします*11。この伝え方もあってかこのツイートは軽く燃えていますね。

こういった伝え方は利用者の神経を逆撫でするだけなのでやめた方が身のためだと思います。

変更

変更したことの是非については後で触れようと思います。ここでは変更のプレス*12の内容について。

ダイヤ改正の発表の時点でダイヤそのものは(ほとんど)完成しているはずなので、この短期間、そして施行まで残り少ない時間の中でよく変更をかけられたと思います。全線のダイヤが掲載されるJR時刻表3月号は2月24日発売予定、変更が発表されたのが1月16日ですので入稿期限に間に合っているのか心配になるレベルです。

そして変更した2本の快速のダイヤも「ちゃんとした」快速である点も評価できます。

強いて言えば、もう少し速やかに、あるいはこの期間があればもう少し多くの箇所を修正できたのではないだろうか、とダイヤを自作している身には思えてしまいます。もちろん修正を行ったのは他の系統の路線への直通列車ですし、そうでなくとも京葉線には武蔵野線からの直通列車がありますから、修正するのはかなり面倒です。また本物のダイヤ作成ですから運転曲線を描くところから行うわけで、時間がかかるのも納得は行きます。まあここは「年末くらいまでは修正するつもりなかったんだろう」と思っておくことにします。

とはいえこれで問題が解決したわけではないという認識は、自治体側もJR側も一致するところです。是正に向けて来年の定例のダイヤ改正まで待たずに改正を行う必要があり、そのつもりであることも両者で一致しています*13

 

沿線自治体の反発の是非

(引用ツイートも参照のこと。)

JRがダイヤの一部変更を発表したことを報じるツイートへの引用リツイートでよく見られたのが「沿線自治体の「ゴネ得」じゃないか」「民間企業の決定に口を出すな」といった意見でした。確かに、「民間企業の決定に地元が反発して変更することになった」という部分を切り取れば地元がモンスタークレーマーであるかのように映りますが、この見方は必ずしも適切だとはいえないのではないでしょうか。

たとえばある企業がある土地で成人向け商品を作っていて、それに対してその土地の首長が「市のイメージ低下につながる」「生産をやめてくれ」と言っているなら、それはその土地の首長が非難されるべきでしょう。

しかし本件はこの例えとは事情が異なります。というのも、本件で「企業」が提供している財がインフラであるという点です。

あえて例えるならば、完全車社会の都市があったとして、そこに一店舗だけあるガソリンスタンド(EVは存在しないものとします)がある日突然「ガスの供給量を制限します」と言ったようなものです。それはその会社が勝手に決めればいいことではありますが、その都市の住民としては死活問題であり、反発は必至でしょう。

ついでに言うと、このSSは「一人当たりの供給量の上限を設けることで待ち時間が短くなるよ!みんなハッピーだね!」みたいなことを言いよるのです。「十分な量の石油を確保できなかった。ご理解ご協力を」なら反応はまた変わっていたでしょう。

鉄道によってもちろん地元住民は受益していますが、それと同時に鉄道会社はその土地の住民に乗ってもらわないと事業が成り立たないので(観光鉄道でない限り)、地元住民と「うまくやる」ことは鉄道会社側の利益にもなります。お互いがお互いの利益に貢献している状況下ですから、住民(利用者)側にも発言権は当然あると考えます。幕張メッセなんかは「あなた方の利益にも直結しますよ」というようなことを言っており*14、より分かりやすいと思います。

もっと根本的なことを言えば、地方自治体の首長はその自治体内の有権者によって選ばれた代表者です。程度にもよりますが、利用者が会社に文句言っちゃいけないなんてことはないと思います。

JR頼み

www.town.ichinomiya.chiba.jp

千葉駅より先の沿線自治体では、東京への所用時間や直通列車を売りに移住者を集めているところがあります*15。これに対して、「その自治体はJRの厚意に便乗していただけではないか?」という批判はできると思います。ただし、本当に沿線自治体がJR東日本に何もしていないのかは十分に確認する必要があると思います。

また、今回反対している人には「京葉線直通の利便性を掲げて移住者を集めようとしている市役所」だけでなく「それを受けてもう移住した住民」も含まれるわけです。前者が批判するのに違和感を感じるのはありえると思いますが、後者はかわいそうですよね。市役所(市議)としてもそうした市民の声を預かっているので、結局沿線自治体が文句を言うことは肯定されると考えています。

本件のインパク

今回の件で、沿線自治体の反発を受けて(問題解決にはほとんど貢献していないとはいえ)発表したダイヤを改正までに修正した、という前例を作ったことは鉄道史に残る汚点でしょう。

もはや大手私鉄やJRといえども、沿線自治体の存在を無視してダイヤを設計することは出来なくなったといえます。今までも似たような問題は発生していましたが、今回の一件は決定的なインパクトがあるのではないでしょうか。

 

ダイヤそのものについて

全ての元凶、改正ダイヤは妥当だったのでしょうか。僕に言わせればあんなダイヤはありえないです。言語道断です。

平行ダイヤは京葉線には向いていない

trains552259.hatenablog.com

「日中のみ快速運転」は現状南武線横浜線で行われています。これらの路線は都心から見て環状方向に走っており、都心から放射してくる各通勤路線を繋いでいます。こういった特性上、各旅客の平均的な乗車時間は比較的短くなると言え、それに従ってホーム上での待ち時間の占める割合が大きくなるため、所用時間よりは本数の多さ(待ち時間の短さ)のほうが重要視されるようになります。よってラッシュ帯は平行ダイヤで本数を稼ぎ、日中はθ方向*16の移動需要(割合)増加に対応して快速運転、という設計が適しているのです。

では京葉線はどうでしょう。ご存じの通り京葉線は中心駅である東京駅に突っ込むr方向の路線です。路線自体もそこそこ長く、さらに蘇我から先の乗り入れもあります。利用パターンとしては、最寄駅から新木場・八丁堀・東京あたりまで/から乗りっぱなし、というのが基本だと思います。乗り換えが少なく長時間の乗車になるので、本数よりは所要時間の短さのほうが重要視されるようになります。平行ダイヤ化によって短縮される待ち時間よりも通過駅が減る(なくなる)ことによる所要時間増加のインパクトのほうが大きくなるため、平行ダイヤは京葉線(~千葉以遠直通)に向いていないと言えます。

強いて言えば改正で平行ダイヤにしても「増発する」とは言っていない……どころか減便しますし、特急(実はこちらも減車する)があるので完全な平行ダイヤにはならないです。そりゃあ単純に停車駅が増え所要時間が長くなり乗車率が高まるだけなんですから改悪以外の何物でもないです。

混雑分散には遠近分離の徹底を

そうなると求められるのは「遠近分離」です。遠方、殊に千葉より先に直通する列車は、京葉線内の停車駅を削ることで速達性を確保すると同時に短~中距離利用者と列車を分けることが適切といえます。

平日朝の新木場駅東京方面時刻表(Yahoo!乗換案内より)

JR東は今改正の目的の一つとして「快速の混雑を緩和すること」を挙げています*17。つまり現状快速に混雑が集中しているということですが、これは単純に快速が少ないからではないでしょうか?

現状の平日朝ラッシュ帯ダイヤを確認すると快速の設定本数はきわめて少なく(おまけにバラバラ)、新木場駅に7時から9時に到着・停車する44本の列車のうち快速は4本、通勤快速は2本です。これで快速が混雑しているということは快速の本数が足りていないことにほかなりません。「快速が停車しない駅の利便性を高めること」なんて言っている場合ではないです(快速を増やせば混雑の緩和という面で利便性は向上。あるいは「昼間の」快速をなくすべきでは?)。

京葉線は路線長は長いですが駅間も長いので私鉄並みに優等の割合を増やす必要はないでしょうし、対面で接続できる快速の停車駅が現状新浦安と海浜幕張しかないですから、この時間帯の快速をもう2本毎時程度増発するのが現実的な解でしょうか。あるいは朝の時間帯だけでも快速の停車駅を考え直すというのも手です。たとえば快速の舞浜通過や新習志野停車、検見川浜~千葉みなと通過など。快速と各駅停車の対面乗り換えができるようにしておくことが効果的です。「通勤快速は乗客が各駅停車の7割ほどにとどまっている」件は、よく言われている通り*18海浜幕張に停車して各駅停車から乗客を拾うことでそこそこ平準化できるのではないでしょうか。

運行費も安くはならない

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こちらの日経の記事で触れられていましたが、全列車各駅停車化は運行にかかる費用という面でも鉄道会社に不利です。車両や乗務員の回転が悪くなるのでその分の増備・増員分、加減速を繰り返す事による電気代の増加やブレーキの消耗などが経営を圧迫する、としています。客扱い中の列車の数(累積時間)が増えればそれだけ車内の蛍光灯や冷暖房、LCDといったサービス電源も消費しますよね。そう言ったところからもこのダイヤが不適切だと言えます。

 

まとめ

この問題について、私はJR東日本(千葉支社)のお粗末さに呆れています。いったいこのダイヤを発案した人は何がしたかったのか全く理解できませんし、それを止める人がいないのも残念でなりません。根回しもせず、地元の強い反発にあってから慌てて説明・修正といった有様です。

先日には長時間に亘る新幹線の交通障害(と作業中の二次災害)もありましたし、ここ数年を通してみてもみどりの窓口の大量閉鎖やゴミ箱の撤去などサービス品質の低下には目に余るものがあります。

鉄道サービスを利用するということは、少々大袈裟かも知れませんが自分の命を預けるということです。人の命を預かる企業がこの体たらくで本当に良いのか?激しく自省し、企業風土を根本から改めるべきと思います。

 

参考文献

浅井優奈. 「【1からわかる!】 JR京葉線 なぜ?ダイヤ改正「見直し」 快速・通勤快速はどうなる? 担当記者が解説」.  https://www.nhk.or.jp/shutoken/chiba/article/018/50/ NHK千葉放送局. 2024年1月18日公開

浅井優奈. 「JR京葉線ダイヤ改正 悩む利用者 朝夜の通勤と保育園のワンオペ送迎に密着 “分刻みのスケジュール”」. https://www.nhk.or.jp/shutoken/chiba/article/018/66/ NHK千葉放送局. 2024年1月26日公開・同27日更新

「通勤快速がなくなる? 3月JR京葉線ダイヤ改正 関連記事一覧」. https://www.chibanippo.co.jp/news/other/1146874 千葉日報. 2024年1月31日公開・随時更新

「JR京葉線」. https://www.tokyo-train-master.com/je-keiyo 路線攻略本. 2024年2月7日閲覧 (京葉線の種別ごとの停車駅を確認できます)

京葉線」. https://www.haisenryakuzu.net/documents/jr/east/keiyo/ 配線略図.net. 2024年2月7日閲覧 (京葉線の配線図を確認でき、退避が可能な駅がわかります)

*1:「2024年3月ダイヤ改正について」. https://www.jreast.co.jp/press/2023/chiba/20231215_c01.pdf 東日本旅客鉄道株式会社千葉支社. 2023年12月15日発表・2024年1月16日更新

*2:「JR京葉線快速縮小「容認できぬ」 熊谷千葉県知事、千葉市長とも反発 撤回申し入れ検討」. https://www.chibanippo.co.jp/news/national/1144357 千葉日報. 2023年12月22日公開

*3:神谷俊一《千葉市長》(@kamiya_shunichi). https://x.com/kamiya_shunichi/status/1736977250195747134?s=20 2023年12月19日投稿

*4:「【速報】<京葉線問題>内房線沿線5市もJRに快速縮小の撤回求める「まちの衰退も懸念」 市原、袖ケ浦など連名で」. https://www.chibanippo.co.jp/news/politics/1149789 千葉日報. 2024年1月9日公開

*5:「【京葉線ダイヤ改正】外房3市町も撤回要望 「生活形態崩壊させる」「事前に地域意見反映を」 大網白里、茂原など連名で JR支社長「考え至らなかったと反省」」. https://www.chibanippo.co.jp/news/economics/1150117 千葉日報. 2024年1月10日公開

*6:「<京葉線問題>特急や快速の維持要望 勝浦や鴨川の外房5市町 JR千葉支社に」. https://www.chibanippo.co.jp/news/local/1155190 千葉日報. 2024年1月25日公開

*7:京葉線ダイヤ改正 「幕張ブランド下がる」「生活リズム変えないと」 新都心の5団体が見直し要望 JRに住民の声紹介」. https://www.chibanippo.co.jp/news/economics/1152379 2024年1月17日公開

*8:神谷市長『ダイヤ改正は毎年行われ、市は許認可する立場にないので、民間企業としての判断は尊重していかなければなりませんが、今回は受け入れ難いほどの急激で唐突で極端な内容で、市民生活、事業活動、将来の都市の持続的な発展に極めて大きな影響が出るということで声を上げました。(後略)』 渡辺佑捺. 「京葉線 朝夕夜の快速取りやめ 反発受け JR千葉支社長が千葉市長に面会 内容詳報」. https://www.nhk.or.jp/shutoken/chiba/article/018/32/ NHK千葉放送局. 2023年12月28日公開

*9:京葉線の快速通過駅の乗降客数はすべての駅が快速停車駅よりも少なく、単純に人数を比べると快速通過駅の乗降客数の合計はすべての駅の合計の7.87%程度に過ぎない。乗降客数の情報は下記より。

「JR京葉線の駅別乗降客数ランキング」. https://statresearch.jp/traffic/train/passengers_line_ranking_36.html 統計情報リサーチ. 2024年2月7日閲覧

*10:JR東日本ニュースリリース【公式】(@JREast_News). https://twitter.com/JREast_News/status/1735539442948202591

2023年12月15日投稿 2024年2月7日閲覧

*11:「首都圏の普通列車グリーン車の料金体系を見直します」.  https://www.jreast.co.jp/press/2023/20231215_ho01.pdf 東日本旅客鉄道株式会社. 2023年12月15日発表

*12:「2024年3月ダイヤ改正内容の一部変更について」. https://www.jreast.co.jp/press/2023/chiba/20240116_c01.pdf 東日本旅客鉄道株式会社千葉支社. 2024年1月16日発表

*13:京葉線ダイヤ改正 異例の「見直し」 上り快速2本のみ復活へ JRが千葉市に再説明も市長「納得できない」」. https://www.nhk.or.jp/shutoken/chiba/article/018/43/ NHK千葉放送局. 2024年1月15日公開・同16日更新

*14:京葉線ダイヤ改正 幕張新都心の5団体、JRにさらなる再考を要望」. https://www.sankei.com/article/20240117-XW7VGZZ45ZKZFJHVLBFDRPUZKI/ 産経新聞. 2024年1月17日公開

*15:一宮町の交通アクセス」. https://www.town.ichinomiya.chiba.jp/kankou/ijyuteijyu/655.html 一宮町. 2024年2月7日閲覧 ほか

*16:極座標平面で角度(偏角)。逆に動径(=放射方向)がrと定義され、rθ座標上で任意の点は(r,θ)で表される。

*17:渡辺佑捺. 「JR京葉線 朝夕夜の快速取りやめ 知事市長「容認できず」 JR側の狙いとは? 2024年春ダイヤ改正」. https://www.nhk.or.jp/shutoken/chiba/article/018/04/ NHK千葉放送局. 2023年12月18日公開・同25日更新

*18:鉄道乗蔵. 「JR京葉線、通勤快速廃止は「利用者•JR」双方に不利益 混雑の平準化は、海浜幕張停車で実現できる」. https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/7b6e2315e8e7ba650a8918070e93aaafdfb6fa80 Yahoo!ニュース. 2024年1月9日公開

2024年欲しいもの

気がついたら冬コミも終わっちゃいました。

webcatalog.circle.ms

 

去年(今年)も年の頭に欲しいものを書いたんですが、気づいたこととして欲しいものって大きくみても四半期毎に変わりますよね。逆に半年以上継続して欲しいものって本当に欲しいんだなというか。

とはいえ、その時々の欲しいものってその時のマイブームの写鏡ですから、後々振り返って懐かしみを覚えられるわけです。なので書き残しておく事にも意味はあるのかなと思っています。

 

去年の欲しいもの振り返り

trains552259.hatenablog.com

記事投稿時に購入済みだったものを除いて5/15でした。高額なものばかりなので思ったよりも好成績?

AI AF-S 80-200/2.8Dは思っても見ない大物でしたね。AF鳴きがひどいですが相当お安かったので買ってしまったのです。AI AF Micro 105/2.8Dもつい買ってしまいました。カビ玉だけど一万円割ってくると魅力的に見えてしまう……

そういえばAF-S DX 12-24/4Sとうとうニコンダイレクトの新品在庫消滅してしまいました。間に合わなかった……素直に中古を狙います。

今年のベストバイはV1ですかね。今回のコミケでも主役級の扱いです。そっか今年だったのか。

 

というわけで2024年の欲しいもの行きます。

 

時間とお金

それを言ったらおしまいだろと言われそうですが、やっぱり時間とお金は大事ですよね。時間とお金がトレードオフなのがつらいです。

なんでこんなこと言ってるのかって、コミケの一月前あたりが一番両方とも必要になる時期だからです。印刷代や他サークルさんの作品の購入費用に充てるために稼がねばならないし(労働と給与支払いの間には一ヶ月ほどタイムラグがあります、バイトなので仕事の量は不均一です)、入稿も早割だとオンデマンドで二週間、オフセットだとやはり一ヶ月前が期限となります。両者共にピークが被るせいで、無理をせざるを得ず、体調とメンタルをやるまでがテンプレート。どうにかしたいものです。

当然時間(とお金)をもっと注ぎ込めばもっと面白い本も出せますしもっと作り込んだ作品も撮れますし……10ダースのレンズを試写もせず家で文鎮にしてしまってるの本当に勿体無い……

コミケも大学の部活の写真展もそうですがまとまった時間がないとちゃんとエネルギーを注げないんですよね。でもそういう時に限って直前に時間がない。長期休みがあるだろと言われそうですけど何かしらやってるので本当の「休み」ってなかなかないです。

お金を稼ぐには時間を売りに出す必要がありますが、それをやると時間を使いたいものに時間を使えなくなる辛さがあります。そもそも「欲しいもの」ってカメラ関係だけじゃないですし、その前に「必要なもの」なんてのもあります。キビシイ。

未来に稼ぐお金前借りできないかな……でも借金を返すために働くのは嫌だな……国から突然「1年以内に使い切れ」って言って100万円渡されたりしないかな……(無理)

 

大判用ニッコール

やってしまいました、とうとう大判カメラを買ってしまいました。トヨビューです。

なのでこいつのためのレンズが必要。何かしら欲しいんですよね。

いつもならニッコール千夜一夜物語に出てくるレンズが欲しいとなるのですが、大判用は第一夜にSW-NIKKORが出てきたくらいで、どうしようかという感じです。

そもそもそんなにお安いものでは無いですしゆっくり探すこととします。

 

TC-E3ED

www.nikon-image.com

E型クールピクス用3倍フロントテレコンバージョンレンズです。実はこれ以外のE型向けフロントコンバージョンレンズは揃ってるので完結させたいです。

あとは3D CADの技術を磨いてE990用の底面カバー(?)を作りたいところですかね。まだ触ったことすら無いですが。コスト面もありますがうまくいけばC105くらいで頒布できるかもね。欲しかったらコメントに残すなりしておいてください。

 

SB-N5

www.nikon-image.com

V1用の外付けスピードライトです。V1せっかくEVFあるのにストロボないのちょっとつらいんですよね。バウンス撮影もできるのが嬉しいですね。最強になれる。たぶんオフモールで安く出てると思うのでそのうち買うかな?


Johann Sebastian Bach: オルガン作品全集(Helmut Walcha)

tower.jp

バッハのオルガン曲を(ほぼ?)全て網羅したアルバムです。CD12枚組。13時間以上あります。

中学時代の音楽の先生が熱心なバッハファンでよくオルガンでバッハを弾いていたのもあり、なんか実家のような安心感みたいなものがあります。定期的に聴きたくなるんですよね。音楽的にもバッハの作品は洗練されていて美しいですし、やはり偉大だと思います。

ちなみに個人的には幻想曲とフーガ ト短調 BWV542が一番好きです。幻想曲の頭もかっこいいですし、後半にある転調しまくって降りていくところがすごく良いです。フーガの最後のピカルディ終止(短調の曲において最後だけメジャーで解決して終わる終わり方)もなんというかすごく気持ちいいです。

バッハはいいぞ。

 

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ここまで読み進めてきてくださりありがとうございます。

https://www.melonbooks.co.jp/circle/index.php?circle_id=117400

新刊・既刊在庫あります。買ってくれると嬉しいです。特に次の機材の導入の足しになります。とても喜びます。よろしくお願いします。

「乗車機会を向上します」の功罪 優等列車はどうあるべきか

「自分の最寄駅に優等列車が停まればいいのに」

誰もが考えたことがあることだと思います。当然僕もあります。

最寄りに優等列車が停まるようになれば、停まるというだけでステータスがあがったような気がしますし、停まることによって人が多く集まりやすくなるといった利点もあります。少なくとも地元の人間で優等列車の停車を歓迎しない声はないでしょう。

 

では最寄駅ではない関係ない駅に優等列車が停まるようになったら?

 

千歳烏山問題や杉並三駅問題、そして今大きな話題となっている京葉線の通勤快速廃止騒動。すべては(広義の)ダイヤ設計の問題です。どの駅にどの列車を停めるかは、列車の運行(ダイヤグラムを実現可能に組み立てる「設計」)だけの問題にとどまりません。

自分の考えをちょっとまとめてみようと思います。

 

平行ダイヤ

京王井の頭線 平日朝の平行ダイヤ

ひとつの究極の形として、すべての駅にすべての列車が停まる平行ダイヤがあります。実際に都心の地下鉄の多くの路線には種別の設定がありませんよね。実際それが最適解だからです。

平行ダイヤの利点はいくつかあります。第一に、平行ダイヤではすべての輸送パターンに応えることができます。

地下鉄では、多くの駅で他路線との乗り換えがありますし、そうでなくてもすべての駅に利用者がいます。より詳しく言うと、地下鉄駅にははっきりしたベッドタウンが少なく(一部除く)、昼間人口のほうが多い地区を多くカバーしています。つまり、旅客が需要する輸送サービスの範囲(始点と終点)の組み合わせごとの需要量の差が比較的小さく、みんないろんなところからいろんなところへ乗っているということが言えます。そのような路線では、優等列車を走らせる必要性はほとんどないと考えられます。

第二に、平行ダイヤでは理論上本数を無限に増やせます。

京王井の頭線 日中パターン(上り)
永福町では追い越し(緩急接続)ができるため線を交差させられる

優等列車を走らせる場合、緩行列車と優等列車では当然始点駅と終点駅間の所要時間が異なります。何も考えずにダイヤを組むと、ダイヤグラム上で列車の線が交差(=追突)してしまい実現不可能になってしまいます。実現可能にするには、たとえば傾きの急な優等列車の線を傾きの緩やかな緩行列車の線で挟むことが考えられますが、その間このダイヤでは合計3本の列車しか設定できません。しかしダイヤが平行であれば、2本の平行線の間にはその線に平行な線を無限本書けます。現実には停車時間や折り返しなどのために設定できる本数に上限がありますが、とはいえ本数を稼ぐにはこの方法が最も有効です。

実際、京王井の頭線の朝ラッシュ帯では全列車が【各停】として運転されています。このおかげで日中は8分に2本(【急行】と【各停】各1本)の路線に2~3分おきに列車を設定でき、渋谷に5両編成で突っ込む路線でも大量輸送を実現しています。

 

優等列車の存在意義

それでは優等列車はなぜ存在するのでしょうか?

東海道新幹線路線図と〔のぞみ〕号停車駅(白色丸印)
Wikipedia東海道新幹線」より URLは後述

東海道新幹線〔のぞみ〕号は、東京・品川・新横浜と停車したのち名古屋まですっ飛ばします。静岡県全スルーです。じゃあ静岡県内にも止めた方がいいのか、と思いますが然に非ず。現実として〔のぞみ〕号は東京~名古屋~京都~大阪間を移動しようとする人でいっぱいです。雑な言い方をすると、それだけ多くの人が静岡県に用がない(止まらなくてよい)ということです。

このように、特定の駅間の輸送需要が(極端に)高い場合に優等列車の必要性が高まります。優等列車を設定すると、その駅間の輸送を高速化・集中化できます(遠近分離といいます)。さらに、優等列車を使わない利用者にとっても、列車の混雑の緩和や乗り換えによる速達化が見込まれ、必ずしも悪いことばかりではありません。東海道新幹線を全列車〔こだま〕にしたらヤバい、そういうことです。

 

「乗車機会」?

重要になってくるのが、優等列車の停車駅設計です。

近年、「乗車機会」という言葉を耳にする機会が多くなったように感じます。この言葉は専らダイヤ改正のプレスリリースで「乗車機会の向上」という謳い文句で優等列車の停車駅増加を伝える際に使われています。

そもそも優等列車は「乗車機会」の対極に位置しています。細かい需要を潔く切り捨てて大きな需要に応えるためのものですから、細かい需要に反応し始めたら優等である意味がなくなります。

〔のぞみ〕号を思い出すと、(少なくとも東名間において)静岡県民は〔のぞみ〕号に乗ることはできません。しかし上で述べた通り、それが東海道新幹線における最適解です。「静岡県民の東海道新幹線への乗車機会を向上します」として〔のぞみ〕号をたとえば浜松駅と静岡駅に停車させるといったことは、〔のぞみ〕号の存在意義に反するのです。

ですから、優等列車の停車駅には特段需要が大きい駅の組み合わせを選ぶ必要があります(現実には緩急接続があるのでそれも考慮に入れる必要があります)。引き算で考えねばならないのです。「乗車機会の向上」という口当たりの良い言葉を借りて安易に停車駅を増やすことは、優等列車優等列車であるアイデンティティを奪っているも同然です。

 

停車駅設定に係る直近の諸問題

最後に直近の諸問題を考えてみましょう。

 

千歳烏山問題

NEWS RELEASE 2021/12/10 「京王線 ダイヤ改正を実施します」京王電鉄株式会社

trains552259.hatenablog.com

千歳烏山問題」と呼んでいるのは自分だけだと思いますが、京王線の【特急】(旧【準特急】)が千歳烏山に停車するのはどうかというお話です。以前にもブログに書いているのでそちらもご覧ください。

千歳烏山駅は乗り換え路線もない駅で、利用者は多いとはいえ主に地元住民に限られます。はっきり言って大した駅ではないです。この駅が「乗車機会の向上」という謳い文句のもと優等種別の停車駅に加えられ、混雑の悪化と所要時間の増加という観点で多摩民(調布およびさらに遠方から明大前・新宿に向かう利用者)から大顰蹙ひんしゅくを買っているのです。

私は「利用者がそこそこ多い駅ほど最上位種別は飛ばせ」と考えています。利用者の種類を種別設計によって適切に分けることによって、すべての利用者にとって快適な輸送を実現できるのです。

種別設計はセグメンテーションです。千歳烏山問題はその失敗例です。

 

京葉線2024年ダイヤ改正に関する騒動 

JR東日本ニュース 「2024年ダイヤ改正について」 東日本旅客鉄道株式会社千葉支社

www3.nhk.or.jp

www.sankei.com

自分も騒動が想像以上に大きくなっていてちょっとびっくりしていますが、JR東日本が次回改正で京葉線の朝夕ラッシュ帯の快速・通勤快速の設定をとりやめる(「各駅停車に変更する」)と発表したことに対し、地元住民および千葉市・千葉県・一ノ宮町など沿線自治体が反発しています。爆破予告すらありましたね。

私は京葉線の利用者ではないので深くは掘り下げませんが、京葉線範囲内の利用者はまだしも蘇我駅よりも遠方から東京へ通勤・通学している方にとってこの改正はなかなか酷だとは思います。井の頭線の平行ダイヤは各停でも乗り通して30分かからない(待ち合わせを除く)短い路線だから成立しているのであって、それを通勤快速ですら40分以上かかる京葉線でやるのはさすがに無理があります。

しかも井の頭線のように「本数を増やすために」平行ダイヤにするわけでもなく、それどころか減便するとしています。それなのに「快速通過駅の乗車可能回数が増えます」。神経を逆撫でされているようで余計に腹が立ちます(グリーン車制度変更の報の時にも思いましたがこういうの景表法か何かで取り締まれないんでしょうか)。

私は正直このダイヤで地元住民の理解が得られるわけがないと思っています。もし京王が「朝ラッシュ帯の調布~新宿は全列車【各停】で運転します」とか言い出したら本社に殴り込みに行くかもしれません。現実に全国ニュースになる程度には問題化しているので、撤回するほかないと思います。

この騒動で、ダイヤ設計は鉄道会社の一存で好き勝手できるものではないという認識が各鉄道会社に伝わることを祈っています。

 

おわりに

「自分の最寄駅に優等列車が停まればいいのに」

たしかにそう思います。しかし、優等列車は飛ばすことに価値があります。しかも優等列車を需要する利用者はその多くが優等列車に流れるので、通過駅の利用者としても空いてる列車に乗れて快適です。

極端な変更は分断を引き起こすので好ましくないですが、いかに停車駅を上手に設定するか、そしていかに通過を受け入れるかが、路線全体で見た利便性の最大化に貢献すると思います。

 

(ミクロ)経済学では制度設計も扱います。曰く、制度は北風ではなく太陽です(cf. 北風と太陽 - Wikipedia )。どのように達成したい目標に人を導くかが制度設計の鍵であり、設計者の腕の見せ所です。考えてみると面白いですよ。

 

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ここまで読み進めていただきありがとうございます。

自作京王時刻表 -メロンブックス

京王線のダイヤに関しては、私も沿線民であるのでどうにかしたいと考えており、実際に自分でダイヤを組んでみました。未完成ではありますがぜひお手に取ってご覧いただき、ご感想をお寄せください(ここのコメント欄とかTwitterとか)。

出典

東海道新幹線の路線図の出典です。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/9/91/LineMap_TokaidoS_jp.png/768px-LineMap_TokaidoS_jp.png 2024年1月16日閲覧

ニコンのDSLRのセンサーサイズはどうなる予定だった?

ニッコール千夜一夜物語の記事では光学設計とレンズの写りを中心に、カメラ・レンズ周縁の時代背景の解説もされることがあります。例を挙げればキリがないですが、D.D.ダンカン氏とニッコールの出会いを語る第三十六夜や、ジャスピンコニカに始まるコンパクトフィルムカメラの広がりに言及した 第三十三夜APSシステムの興りと廃りを解説した第七十五夜などがあります。

www.nikon-image.com

その中でも第六十八夜にはデジタルカメラ黎明期の事業立ち上げに関する貴重な話が収められています。読み応えがあるのでおすすめです。

今回の話題はここからで、本文の結びにしれっとこんなことが書いてあります。

2003年に、D2Hと同時期に発売されたこのレンズは、広角撮影を待望していたD1、D100、D2ユーザーに好評をもって受け入れられ、現在も販売を続けるロングセラーとなっている。それは、最初のデジタル一眼レフカメラ専用レンズとして、高い志をもって設計されていたからかもしれない。例えばこのレンズのイメージサークルは、現在のDXレンズより一回り大きくとられ設計されている。それは開発当時、デジタル一眼レフカメラの画面サイズが大きくなる可能性があったためだが、こうした高い目標が、超広角ではずば抜けた豊富な周辺光量やヌケのよさを生み出し、他のレンズでは出せないこのレンズの味になっているのではないだろうか?

なんとも気になる箇所がありますね?
注)とっくに終売しています。ただつい最近までニコンダイレクトで新品買えました。

 

レンズの詳細な設計は特許文献で確認することができます。今回もいかにもそれだろうと思われる文献を見つけてきた(特開2004-021223)ので参照すると、AF-S DX 12-24/4Gレンズ(2003年6月)のHP上での画角(全画角)は99-61°とありますが、特許文献では102.4~64.9°とあります。このレンズの本当のイメージサークルDXフォーマットのそれより少し広いことが分かります。

ではそのセンサーサイズがどのくらいなのかを考察していきたいと思います。

特許文献上でも焦点距離は12-24mm(厳密には12.3~23.3mm)です。とりあえずテレ端側の画角を使うことにします。レンズの焦点距離f'・画角(半画角)Ω・像高y'の間には
 y' = f' tan\Omega
という関係があります。ここでy'の最大値はイメージサークル半径、すなわち画面サイズの対角線長を1/2倍したものになります。上式にHP上の画角を代入してみると、y'=14.137[mm]を得、これはDXフォーマットのサイズ23.6×15.7[mm](Nikon Z 50、製品により若干異なる)の対角線長の半分14.131[mm]に近い値になります。

この式に特許文献の画角の値を代入してy'を求めてみると、15.260[mm]となり、1mm程度長くなります。Z 50のセンサを拡大することを考えると、辺の長さを15.260/14.131倍すれば良いので、25.486×16.954[mm]となります。

いわゆる換算係数(35mm換算するときの係数)はどうなるのでしょうか。これも対角線長(の半分)の長さの比を使えば求めることができます。FXフォーマットのサイズ35.9×23.9[mm](Nikon Z 8)の対角線長の半分の長さは21.563[mm]で、確認のためにZ 50のそれで割ると1.526を得、1.5に近い値になります(厳密に計算するとまあまあズレるんですね)。同じように計算すると、一回り大きいサイズでは1.413倍となります。ざっくり1.4(1.414)倍ですね。キリがいいです。これを使うと、DX 12-24mmレンズは換算16.8-33.6mm相当の画角で設計されている、ということになります。

 

余談ですが、この話を念頭に置くとAF-S DX 17-55/2.8Gレンズ(2004年6月)のワイ端17mmというモヤモヤも解消されます。1.4を掛けると23.8-77mmとなって24-70mmレンズの画角を含む焦点距離域をカバーすることになります。特許文献を参照しても、17-55は「大きい方」のDXフォーマットのサイズを念頭に設計されていたことが分かります(特開2005-107036)。実際2本目のDXレンズなので、DXフォーマット拡大の計画はまだあったのでしょう。

とはいえ、同時期発売のAF-S DX 18-70Gレンズ(2004年6月)は「小さい方(現行)」のDXフォーマット準拠の設計になっています(特開2005-107262)。17-55Gが発売された頃にはもう現行のDXフォーマットで行くことが決まっていたのかもしれませんし、現在のFXレンズとDXレンズのようにレンズラインを分けるつもりだったのかもしれません。いずれにせよ、初めてのニコンFXフォーマットカメラであるNikon D3(2007年)の計画が立ち上がったことで、DXフォーマットの拡大は消滅したものと考えるのが自然でしょう。

メディカルニッコールを衝動買いした話

松屋銀座お疲れ様でした。

www.cameranonaniwa.co.jp

催事の裏で、渋谷に新たなカメラ屋が誕生しました。レモン社渋谷店です。新宿とか銀座教会とかのレモン社さんです。スタジオ728と合わせて渋谷モディの地下に爆誕しました。

 

初日に行った(まあ7日までの一週間に4回行ってるんですが)際にちょっとインパクトの強い子を拾ってきたので紹介します。

 

Medical-NIKKOR 120mm 1:4 (IF)

Medical-NIKKOR 120mm (M=1/11) 1:4
発売年月 1981年12月
型式 ニコンFマウント医療用単焦点レンズ
焦点距離 120mm(1/11倍)
最大口径比 4
レンズ構成 6群9枚
撮影距離 1.6m(1/11倍)~0.35m(1倍)
絞り 4(1/11倍)~32(1倍)
アタッチメントサイズ 49mm

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ただの撮影レンズではありません。口腔撮影のための特殊レンズです。特徴的な組み付けスピードライトの中に特徴的な内焦式の光学系が秘められています。GN固定のストロボを使用する前提なので絞りとピントリングが一体となっていて、ピントを合わせると勝手に絞られます。する必要がないので露出系連動はないです。ある意味GN-NIKKORの上位互換ですね。

補償しない変倍はピント合わせに応用できます。もちろん変倍しているので焦点距離は変化しているのですが、無限遠光線の結像面を物体側に動かすという点で光学系全体の移動(通常の「ピント合わせ」)と無補償の変倍は似ています。結像面を変倍中固定にするために存在している補償群を無くして仕舞えば補償されず像面が動いて結果近距離にピントが合う、というわけです(参考文献)。そういうわけで、四群アフォーカルズームから補償群である第三群を取り除いたような凸凹凸三群構成構成のIF中望遠単焦点レンズが生まれたのです。

ちなみに、69夜本文中に『私は直接このレンズ開発秘話を飯塚さんにお聞きしました。すると、この仕事を受ける寸前まで望遠ズームを設計していたらしいのです。』とありますが、設計年代を考慮するにここでいう「望遠ズーム」はE75~150/3.5(関連特許出願1980.2、1980.5発売)か、あるいはAI ED 50~300/4.5(関連特許出願1976.5、1977.5発売)あたりだと考えられます。メディカルニッコールに近い光学系に関する特許の出願が1980.8であることからE75~150/3.5説が有力になっていますが、いずれにせよ四群アフォーカルズームを多く手掛けていた飯塚氏が設計に携わったからこそ、このような斬新なレンズタイプが生まれたのです。

メディカルニッコールでは無限遠は出ませんが、このアイデアはマイクロニッコールにも生かされています。AF-S Micro 60/2.8GAF-S DX Micro 85/3.5GAF-S Micro 105/2.8GといったAF-Sマイクロの光学断面図を眺めてみると、前凸群が弱く補償群のない四群アフォーカルズームの形状が浮かび上がってきます(前凸群が弱いのは合焦の役割がなく接写時の周辺光量の確保に有利だからだと考えられる)。まさに「メディカル型」であることがわかります。

ちなみに、AF-Sの一つ上の世代であるAI AF代の60マイクロ105マイクロはいずれもダブルガウステレコンをつけたような形状をしていました。なぜ大幅に光学系が変わったのか。これはひとえに鏡筒設計の面で有利だからではないかと考えています。AI AFでは光学系全体を(部分ごとに異なる動きをさせながら)物体側に動かしてフォーカスします。これでも等倍まで合焦させられるのですが、多段階に鏡筒を繰り出すなど複雑な鏡筒設計が求められます。ところが「メディカル型」では、動かすのはレンズ中程の数枚のレンズのみ。軽量かつ単純で、鏡筒の内側で処理することができます。鏡筒設計やAF速度、耐久性など様々な面で有利であることは明らかです。

 

閑話休題、このメディカルニッコールはピントを合わせると勝手に絞られてしまいます。GNが固定であるため当然の事ではあるのですが、今日我々が使うには少々不便です。というのも、電源ユニットやケーブルがなかなか無いのです。自然光下で使うとなると、ピントと絞りが一体だとずいぶん苦しい。ここで活躍しそうなのが他社向け「Gタイプ対応」マウントアダプターです。千夜一夜ではIXニッコールを使うために佐藤氏がしれっと使っています(!?)が、Gタイプレンズを他マウントで使うための絞り可変マウントアダプターと、そのマウントからさらにZマウントへのアダプターを重ねることで、擬似的に絞り可変FTZと為すことができます。

まあレンズ側で絞られた状態になってないとこれを使ったても絞ることができないので、例えば最長距離(絞り開放)でF11とかはできません。逆に至近で開放とかはできるので遊ぶ分には問題ないと思います。むろん自己責任でお願いします。

まあ僕はそもそもZを持ってないので大人しくD600で撮ることになります。いつの日にか……!