リトルニコ爺の手記

わかばだいとかいうハンネでTwitterをやってる人が昔やってたYahoo!ブログから引き継いでリスタートした沼みの深いブログ。

機材紹介:Nikon Nikomat EL

こんにちは。いかがお過ごしでしょうか。

 

前にNikomat ELを買って試写も済ませていたのをすっかり忘れてました。F2を譲受したことが大きすぎて…(F2についても書かないといけませんね!)

 

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Nikomat EL

 

ニコン一眼レフカメラ初の電子シャッター機、Nikomat EL。F3に先駆けて初めて絞り優先AEを搭載した、今までとは全く違うカメラです。こちらもあと少しで発売から半世紀。しかし操作感はFE、あるいはF-501までも変わらない、非常に洗練されたものです。

 

スペック

135フィルム用(ライカ版)マニュアルフォーカス一眼レフカメラ

電子式金属幕縦走りフォーカルプレーンシャッター B, 4"~1/1000", A(絞り優先AE時無段階 マニュアル時一段階) 同調速1/125"

ニコンFマウント系・(開放F値半自動入力)旧連動方式(爪のあるニッコールレンズで開放測光で絞り優先AE使用可、爪はないが絞り環のあるFマウントレンズすべてで絞り込んで絞り優先AE使用可。固定絞りでなく且つ絞り環のないレンズは使用不可)・ミラーアップ可・被写界深度確認可

CdS素子によるTTL中央部重点開放測光・絞り優先AE使用可(中央部重点測光・2本針アナログ表示式・セルフタイマーレバーを逆向きホールドでAE-L("露出記憶")可)(使用電池:4SR44 1コ(アダプター+SR44 4コで代用可)・ミラーボックス内)

 

出で立ち

ニコンは光の制御にとり組み、多くの実績を残しています。そして今、新たにエレクトロニクスによる光の制御法を完成。光学技術と電子技術の融合により完全自動露出を実現しました。ICコントロール一眼レフ=ニコマートEL……未来一眼レフへの偉大な第一歩です。

(中略)

ニコマートEL――ニコンではじめて電子シャッターを採用した完全自動露出一眼レフです。完全自動露出のために、モノシリックICをはじめ、FRE(金属薄膜抵抗体)など、ニコンの精密技術が開発した、数多くの新機構を採用。さらに、高精度・安定性・耐久性を追求し、いまここにニコマートELを完成しました。

創造領域の拡大を押しすすめるニコン。完全自動露出一眼レフニコマートELは、そのひとつの結論です。

Nikomat EL登場前の一眼レフカメラは、いずれも機械式でした。歯車やゼンマイなどでシャッターを切る方法で、シャッターを切る動作には一切の電源を必要としません。今ではかえって人気が出ていますが、機械式カメラでは露出を決定するために絞りおよびSSダイヤルを操作せねばならず、シャッターチャンスを逃しやすい。その中で誕生したのがNikomat ELです。

絞り優先AEを搭載したNikomat ELは、レンズの絞り環を回すだけでカメラがSSを決定するため、より露出ミスなく且つよりスピーディーに撮影することができるようになりました。

 

操作

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軍艦部-やや左手側

Nikomatとはいえど、FT系とEL系では中身がまるで違うので、操作系も異なります。まずEL系ではSSダイヤルが軍艦部にあります。まあオートにしておけばあまり触らないです。

次にファインダー内表示。FT系は機械式シャッターで中央合致式(絞りリングとSSダイヤルを操作し針を適正露出のところに持ってくるタイプ)なのに対し、ELはカメラが自動でSSを決定するので、画面左側にあるSS表示上を針が差してSSを提示します。なおマニュアル操作用に「今SSダイヤルで何を指しているか」用の針もあります(絞り優先AE時は"A"位置)。これらはそのままFE系統に受け継がれています。見やすいです。

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軍艦部~マウント部 右手側

巻き上げレバーの予備角が露出計の電源になっています。またシャッターロックもつきました。なお分割巻き上げは不可です。

FT系と違う点として、ASA感度ダイヤルも軍艦部にあります。いかにFT系の軍艦部がスッキリしているかが分かると思います。

 

デザイン

Nikon F2 フォトミック

Nikon F2 フォトミック

時代背景的にF2の影響を強く受けています。Fと比べて角の取れたデザインで、セルフタイマーや巻き上げレバーに指当てがつき、ホットシューも固定になりました。また銘板の「Nikomat」の文字のフォントが変わり、カクカクしてます。さらにペンタ部の上の方に「EL」と刻まれています。本体ではなくペンタ部に書いてあるのがいいですね。

 

使い勝手

非Aiレンズ装着時に開放絞りの状態でストレスなく絞り優先AEを使える(ELとELWのみ)ので、非常に重宝します。Ai連動レバーが可倒式のFEなんかでもいいんですが、最近の人気に押されて値段が高騰しているうえ、非Aiレンズでは絞り込まないと使えないんです(F3も同じく)。FE2以後は装着すらできません(一部除く)。ちなみに、Ai以後のレンズでも非CPUであればほとんどのレンズに爪がついている(例外あり)ので、非Aiのレンズとまったく同様に使えます。爪なしのAiレンズでは絞り込み測光となります。G・Eタイプレンズの使用は不可です。もちろん普通絞り・プリセット絞りのレンズでは絞り込み測光で使えます。

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ミラーボックス内 電池室

電子シャッターであるからには電池を入れなければなりません(電池がない状態では機械式の1/90"でシャッターが動作します)。しかし裏蓋には電池室がありません。じゃあどこにあるんや、というとミラーの下にあります。ミラーを上げる(ミラーアップ機構があります)と電池室カバーがありその下に電池を入れます。電池そのものですが、アダプター買ってSR44を4つ入れればいいんですが、ボタン電池って思ってるほど安くないのでちょっと効率悪いかもですね。ちなみにアダプターがなくても隙間をアルミホイルで詰めてあげれば動きます。

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本体裏面

電池の残量は本体裏面のフィルム感度ダイヤルの下にある電池チェックボタン(左の白いやつ)で行えます。これを押すと、電池残量があれば右にある電池チェックランプが点灯します。

シャッターロックがついてるのはすごくありがたいですね。あとニコンのガチャガチャつきです。楽しい。

サイズ感は、旧連動時代のものらしくやや大きめです。その点後のFM/FEでは本体の小型軽量化が行われ持ち運びやすくなっています。重さも機械式のNikomat FT系統と同じくらいあります(カタログによると、ボディのみ 780g / 50mm F1.4付 1,105g)。

ファインダーはA型スプリット式とJ型マイクロマット式(「マイクロプリズム」じゃないんですね)の二種があります。

メモホルダーはありません。残念。

 

あとがき

廉価版であるニコマートとはいえやっぱりニコンのカメラなので堅牢です。発売からもうすぐ半世紀を迎えますが、普通に動く個体もそう少なくないと思います。使い勝手もよく、機械式カメラよりも操作が楽で撮影にはより適したカメラじゃないかなと思います。繰り返すようですが、旧連動方式のカメラで絞り優先AEが使えるのはこのELとマイナーチェンジバージョンのELWのみ。非Aiレンズでもシャッターチャンスを逃さない。よりスマートで一歩踏み込んだ撮影ができるカメラです。ただし電子シャッター機ですから、買うときにはできれば電池を入れてSSが変化することを確認、できなくてもせめてシャッターが切れることは確認してくださいね!

 

Nikomat EL カタログ

Nikomat EL カタログ

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Nikomat EL + NIKKOR-S.C Auto 1:1.4 f=50mm

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作例1

ちなみに、カタログによるとNIKKOR-S.C Auto 1:1.4 f=50mm(黒)がセットで販売されていたようです(他にも50/2や55/1.2とのセットもあり)。このレンズ、後ボケが二線ボケになりがちだったりします(f/4まで絞れば気にならなくなるらしい?)が、それさえ分かっておけば十分使えます(作例1はf/11まで絞り込んで撮影)。レンズの詳細はニッコール千夜一夜物語の第四十四夜参照のこと。個人的にはやっぱり50/2を勧めておきます(一回手放したものの別個体を買ってしまいました)。