リトルニコ爺の手記

わかばだいとかいうハンネでTwitterをやってる人が昔やってたYahoo!ブログから引き継いでリスタートした沼みの深いブログ。

機材紹介:NIKON EM(その2)

だいぶ前に"機材紹介:NIKON EM(その1)"を書いた後ほったらかしにしてたのでそろそろ"その2"を書き上げてしまおうと思います。

 

使い勝手と考察

中上級者が使うにはかなり物足りない感じです。逆光シーン用の2段ハイキー設定のボタン(左手側上部の銀色のボタン)があることや、セットとして出されたレンズが「Nikon LENS」であった(NIKKOR銘をもらえなかった*)こと、絞り優先AEのみであることから考えるに、フィルムコンパクトの上位互換くらいの感覚だったのだと思います。

*) Ai NIKKOR 50mm F1.8SはEMと共に世に送り出されたいわばキットレンズで、海外版Nikon LENS SERIES E 50mm F1.8と光学の基本設計は同じですが、彼だけはNIKKORです。なおこの光学系はAi AF NIKKOR 50mm F1.8Dまで受け継がれています。詳しくはリンク参照(ニッコール千夜一夜物語に飛びます)。

マニュアルモードがない(機械式1/90″シャッターとBはあるにせよ)上にAEロックもできませんから、作為的に撮るのはむずかしいです。測光の都合上どうしても画面中央に主要被写体を置かねばなりません。

とはいえ、元来EMのターゲット層は初めて一眼レフを持つユーザー。この割り切りは正しかったと思います。カメラ初心者にマニュアル露出の話したって伝わらないでしょう?この「絞り優先AEのみ」には、(初めて一眼レフに触れる)誰しもが失敗無く写せるように、というねらいが見られます。また「中央部重点測光」なのは時代的な理由が大きいですが、わざわざ使うかもわからないAEロックをつけるよりはカットしてより廉価に販売するほうがいいと考えたのでしょう。

EシリーズレンズがわざわざEMのために用意されたのも、そこに焦点があるからだと思います。昨日初めてレンズ交換式カメラを手にした人がキットレンズ以外に欲しいレンズを考えるとして、はっきり言ってどれを選べばいいのか分かりませんよね。なぜなら「これはプロ向けのレンズだよ!」とか「これは撒き餌だよ!」とかカタログに書いてないからです(いや書いてあったら驚きますが)。そこで、Eシリーズは「EMのために用意されたレンズ」でありますから、初心者でも実際に手を伸ばすことができる所謂「撒き餌」レンズとして成功したのだと思います(しかも良く写る)。

 

発売がF3と同じタイミング(のはず)で、且ついずれも有名な工業デザイナーであるジウジアーロが手掛けただけあって、世の中の受けも非常によかったものと思われます。今まで(FやNikomatなど)とは全く違うニコン、リトルニコン。軽い。小さい。簡単。失敗しない。おしゃれ。安い(たぶん)。(おまけに分割巻き上げ可。)今でも中古市場はにぎわっています(ターゲット層の問題か状態は好ましくないものも多いですが)。使えなくても、Ai 50/1.8あたりをつけて部屋に飾るだけでもおしゃれでいいでしょう。

 

(写真そのうち追加します!少々お待ちを!)