リトルニコ爺の手記

わかばだいとかいうハンネでTwitterをやってる人が昔やってたYahoo!ブログから引き継いでリスタートした沼みの深いブログ。

使用雑感:New NIKKOR 35mm 1:2.8

いやぁ、毎月1本投稿をキープするのってなかなか大変ですね……まるひと月のブランク明けでの投稿です。みなさまいかがお過ごしでしょうか。いつのまにかブログ初めてまる5年経ってたらしいです。

いつもはAIレンズを挙げるんですけど、今回は非AIの子。F2 Photomicにつけて使ってみたらなかなか強烈だったので書いてみます。

 

「MF」の「単焦点」であるということ

まあこれは35mmレンズに限った話ではないんですけど、MFの単焦点っていいですよね。まず単焦点であるということ。単一(複数本持ちの時は複数)の固定された画角で被写体を見て、どこをどう写したいか・切り取りたいかを考える。ズームレンズで「このくらいの焦点距離かな」って先にズーミングしてから……って使い方もできますけど(実際その使い方をしてる)、やっぱり単焦点は画角が一つしかないですから、集中力が違うというか、「この画角で撮ってやろう!」って気になるんですよね。また単焦点はズームよりも絞り値の選択肢が多い(ことが多い)のも魅力。

MFであるということ。これが意外に重要で、「どこにピントを置くのか」と「被写界深度をどれだけ深くとるのか」を必ず考えることになります。中望遠までいけば被写界深度の深さはあまり考えなくなります(被写界深度というよりボケ量という発想になる)が、35mmくらいまでならギリギリパンフォーカスができます。パンフォーカスで撮るのが割と好きな僕からすると、どの絞り値の時にどこからどこまでピントが合うのかという情報はかなり重要になってきますから、MF単焦点なら必ずついている被写界深度表示が欠かせないわけです。

 

35mmの画角について

35mmってすごく難しい画角だなって思います。

50mmより長ければ圧縮したりボケさせたりすればある程度サマになりますし、超広角なら画角いっぱいに被写体を置いたりパースペクティヴを強調したりして面白い画が得られます。でも35mmってどっちもできないんですよね。圧縮するには短すぎるしぐわんってやるには狭すぎる。本当に配置をうまく考えないとただの記録写真になってしまう難しさがあります。ズームの中の35mmならまだしも、単焦点だっていうのが厄介。『ニコンS型カメラの時代、カメラマンの三種の神器と言われたのが、3.5cm、5cm、8.5cmの3つの焦点距離のレンズでした。一人前のカメラマンになるためには、この3つの交換レンズを自在に使いこなさなければなりませんでした。』(ニッコール千夜一夜物語 第三十七夜)とあるだけあるなぁと思います(なので僕は半人前です)。

 

New NIKKOR 35mm 1:2.8

ところで35単をはじめとする広角レンズにクモリの持病のあるレンズが多いのどうにかならないんですかね…… 

 www.nikon-image.com

閑話休題。改良された方のレンズが今回の子です。前玉にクモリのある暗いNew代非AIの35単という救いようのない属性ですがこういうわけで手に入れることにしたわけです(この光学系をお探しならAI代前期型のほうをお薦めします)。外装はAIにも似ていますが、なんとなくボテっとして垢抜けない、いかにもNew代といった感じです。あと絞り環のローレットが鋭くて少し痛いです。

 

写り

明るさを無理していないこともあって、撮影時にファインダーを覗いた程度ではいやな像の流れや点ボケの安っぽさを感じることはありませんでした。

写りを確認する前に。現像時に一緒にしてもらうデータ化ってなんか微妙ですよね。低画質でフィルムのもつ解像感を発揮しきれていない感じがします。インデックスに毛が生えたようなものというか…… 焼くときは十分な画素数出すんだからそのデータを欲しいものです。

さて、情報量の少ないデータをもとに感じたことを書いていきます。ちなみに比較用に-S Auto 35/2.8(後期)も少し使いました。

作例1
Nikon F2 photomic / FUJICOLOR C200
New NIKKOR 35mm 1:2.8 f/11 1/15

パンで使う限りでは、全域にわたって高画質な予感をさせます。35mmなのでパンフォーカスはまあまあやりやすいです。

作例2
Nikon F2 photomic / FUJICOLOR C200
New NIKKOR 35mm 1:2.8 f/2.8 1/250

開放近傍でも解像力はそれなりにあるようです。こればっかりはこのデータでは分からないですね。後ボケの2線ボケは若干ありますがそこまで強くはないです。

作例3
Nikon F2 photomic / FUJICOLOR C200
New NIKKOR 35mm 1:2.8 f/2.8 1/30

作例4
Nikon F2 photomic / FUJICOLOR C200
NIKKOR-S Auto 1:2.8 f=35mm f/2.8 1/125

前モデルである-S Auto 35/2.8後期型との違いを最も感じたのが周辺の光量です。Autoでは解放で周辺の光量落ちがはっきりとわかりますが、Newではまったく感じられなくなっています。まあ絞ればいいんですが、解放でもパンフォーカスが狙える画角なので助かります。標準や中望遠なら逆にアリなんですけどね……

ちなみにNewの解放で空を撮るのをすっかり忘れてました。収差確認のための写真ってある意味作品作りのための写真とは別ジャンルですよね。

 

暗いから安定した写りなのは当然だと言われればそれまでですが、暗くても安定していなかった(?)時代が事実としてすぐそばに存在しているので、そのありがたさを感じます。星像などは映してないので分かりませんが、少なくとも日用で何か物足りなさや嫌な収差を感じることは無さそうです。

特に-S Auto後期と比べると性能が向上して扱いやすくなったと感じます。中古市場としてはクモリと非AIに泣かされますが、実行環境のある中で良い個体を見つけたら実用としてレパートリーに加える価値のあるレンズだと思います。35mmで鍛えると画角の取り方のレパートリーが増えるのでおすすめです。