リトルニコ爺の手記

わかばだいとかいうハンネでTwitterをやってる人が昔やってたYahoo!ブログから引き継いでリスタートした沼みの深いブログ。

噂話

突然ですが、こんな噂情報を聞きつけました。

調べてみると、特許が出願されているのを確認出来ました。

with defocus control?となっている通り、2つのフォーカス群の位置関係で同一撮影距離上で収差状態の異なる複数の合焦状態を達成するというものです。

 

defocus control、いわゆるDCというのは、球面収差量を変動させてボケ味を変えられるレンズの事です。球面収差は補正過剰のときには後ボケが二線ボケとなり、前ボケは芯のある好ましいボケになります。補正不足の場合はこの逆です。前も後も二線ボケというのは可能(反射望遠レンズは構造上そうなる)ですが逆は不可能です。

従来の中望遠レンズでは、背景のボケを美しくするために球面収差を僅かに補正不足にバランスさせていたそうです。DCレンズではその必要がなく、DCリングセンターで球面収差が0に近いのが特徴的といえます。また逆に前ボケに重点を置いた撮影でもボケを美しくできますし、リングを多めに回せば簡易的なソフトフォーカスレンズにもなります。

 

とDCレンズの説明はここまでにして、Z DC 85/1.2 S(仮)と先行のAi AF DC 135/2Sを見比べてみます。

www.nikon-image.com

おなじみ千夜一夜さんです。

ざっと光学系を見比べてみて分かるのは、135/2が対象型を基本としているのに対し、85/1.2は非対象な構成となっている点です。曲率半径の短いレンズもあり、ゾナーなんかもほうふつとさせます。Zマウントになってバックフォーカス長が極端に短くなって以来、ほかのZマウントニッコールにおいても従来(Fマウントや1マウント)とは異なる「攻めた」光学のレンズが多くなっていますが、その一例とも言えるでしょう。(ある意味直系の前モデルと言える1 32/1.2すら対称型ですからね。)

他には、135/2はDC群とフォーカス群が独立しているのに対し、85/1.2は2つのフォーカス群がDC群も兼ね合わせている、という点が異なります。言い換えれば、85/1.2はマルチフォーカスの進化系とも言えます。

 

ところで、DCニッコールがAF-S代(つまりデジタル用レンズ)として発売されることはとうとうありませんでした。この「復活」が実現すれば嬉しいところです。

こうしたZマウントになってからの復活というのは増えてきていますね。一番印象的で特筆すべきなのはやはりNoct-NIKKORの復活でしょう(Ai Noct 58/1.2S→Z 58/0.95 S Noct)。Zマウントの優位性と最新の光学設計の威力をまとめて見せつけた最高級MF(!?)大口径標準単焦点レンズです。

標準では他にも。50/1.2というスペックはこれもAi-S以来です(Ai 50/1.2S→Z 50/1.2 S)。FマウントのCPU付きでは、CPU接点の関係で後玉径に制限がかかり、F1.2級大口径レンズの登場は1 32/1.2までお預けになっていました。ちなみにこれ末尾のSの意味が違うの引っ掛けですよね。

標準系撒き餌レンズでF2が採用されたのも久しぶりです(Ai 50/2→Z 40/2)。50/1.8が高級レンズになっちゃった(AF-S 50/1.8G→Z 50/1.8 S)ので、その差別化と思われます。4群6枚と聞いて興奮したものです。ダブルガウスじゃないけど。

あと地味ながら大きいと思うのが、標準マイクロニッコール50mmの復活です。マイクロニッコールニッコールの看板商品で、当然ロングラン商品ですが、焦点距離が50mmのマイクロニッコールはなんとSマウント用の初代マイクロ以来なのです(Micro-NIKKOR 5cmF3.5→Z 50/2.8)!

地味に28/2.8も久しぶりです(Ai AF 28/2.8D→Z 28/2.8 (SE))。小型軽量な広角単焦点はあると嬉しいですね。24-50なんてのも地味に久しぶりなのでは(Ai AF 24-50/3.3-4.5D→Z 24-50/4-6.3)。あの系統はAi AF 28-85/3.5-4.5Sと共にAi AF 24-120/3.5-5.6Dに吸収されて消滅したと思っていたので、少し驚きがあります。

未発表ですが、200-600も「復活」なのです。先祖はAuto-NIKKOR Telephoto-Zoom 20cmF9.5~60cmF10.5。F型2本目のズームレンズです。Zではどんな明るさになるんでしょうか。

 

こういうわけで、NIKKOR Zには設計者の夢が詰まっているなぁとしみじみ感じます。Fマウントの際にも設計の自由度をあげるためにマウントを大口径化していますが、時代が下ってそれすら窮屈になり、Zへの移行でも更なる大口径化とショートフランジバックを採用、そしてそれを最大限に生かしたレンズを設計、販売しています。今後にも期待が膨らむばかりです。