リトルニコ爺の手記

わかばだいとかいうハンネでTwitterをやってる人が昔やってたYahoo!ブログから引き継いでリスタートした沼みの深いブログ。

非Aiニッコールを装着できるカメラ・できないカメラについて

今のところNikon FXフォーマットDSLR機はそろってCPU/Ai連動併用方式なので一言に「Df以外のFXフォーマット機では非Aiレンズは使用不可」と言えるのですが、DXフォーマット機に関しては少々事情が異なります。まあ本来はみんな使用不可な組み合わせなのですが。

trains552259.hatenablog.com

Fマウントの互換性理論についてはこちらの記事も参考にしてください。

 

話がややこしい訳

f:id:trains552259:20210626145629j:plain

Nikon N8008s [CPU/Ai連動併用方式]

時代はAFが大きく進化し始めた時代にさかのぼります。F-三桁の時代です。CPU連動がメインになり、肩に液晶がつくようになっても、これまでの操作性を維持すべく、上位機種ではA・Mモードでは絞りをレンズ側に決定させ、絞り込み段数をAi連動ガイドによって取得していました(F-801シリーズ, F-601など)。このCPU/Ai連動併用方式によって、非CPUのAiレンズに対する互換性も確保していたのだと思います(実際、今日のCPU/Ai連動併用方式のFマウントDSLR機では非CPUのAiレンズに対する互換性確保としてレンズ情報の手動入力ができ、A・Mモードで露出計が連動します)。がしかし、どの時代でもそうですが、普及機においては古いものとの互換性は切り捨てられることが多いです。F-401シリーズにはAi連動ガイドは搭載されていません。

しかし、初期のAFレンズ(S, Dタイプのこと。絞り環がある)の使用に当たっては、Ai連動ガイドがないと困る側面もあります。Fマウントの仕様上、カメラ側からの操作で絞り連動レバーを介してレンズを絞られている状態から解放状態に持っていくことはできますが、絞り環で絞り開放に設定されたレンズを絞り込ませることは出来ません。これはつまり、レンズの絞り環を使わずカメラ本体で全てを設定・操作するとき、レンズの絞り環を最小絞りに設定しておかないと絞りを制御できないということを意味します。ですから、このタイプのカメラに絞り環つきCPUレンズ(S, Dタイプ)を装着するときには、レンズの絞り環を最小絞りに合わせねばならないのです(Ai連動するカメラでもS・Pモードではカメラが絞りを制御するのでレンズの絞り環を最小絞りに合わせる必要があります)。そしてそれを確認(警告)するための機構が、Ai連動ガイド以外に必要になりました。

ここで目を付けられたのが、F2をEEカメラにするEEコントロールユニット用にAiレンズに設けられた連動ガイド。EEコントロールユニットは絞り環を直接駆動しますが、この連動ガイドは(おそらく)絞り環の絞り段数を把握するために使用されました。このガイドは最小絞りで同じ位置に来ますから、このガイドを使ってレンズが最小絞りに設定されていることを確認しよう、となったわけです。別にNikon内部の方に聞いたわけではないですが、因果関係を考えるとこのように推測されます。事実、すべてのAiレンズには(レンズにCPUが載るずっと前から)この連動ガイドがついています。

f:id:trains552259:20210626144309j:plain

円周方向回転方式最小絞り警告レバー(D80

f:id:trains552259:20210705172730j:plain

円周方向回転方式最小絞り警告レバー付ニコンFマウントSLRカメラにAi AFニッコールレンズを装着した様子

とにかく、この連動ガイドを利用してレンズの絞り環が最小に来ていることを確認することになりました。Ai連動レバーと同様に、レバーを回転させてレンズが最小絞りに設定されているかを確認する、これが最小絞り警告レバーです。

f:id:trains552259:20210626232013j:plain

非AiとAiの絞り環の比較(マウント面高さをそろえています)

f:id:trains552259:20210626144430j:plain

円周方向回転方式最小絞り警告レバー付きニコンFマウントSLRカメラに非Aiレンズを装着しようとした様子

絞り環がレバーに干渉している

しかしながら、このレバーには問題点がありました。それはAi連動カメラと同様、非Aiレンズを装着しようとするとこのレバーを折ってしまうということです。絞り環がレバーに干渉してしまうのです。ガイドに回させるために設置してますから必然的にこうなります。

f:id:trains552259:20210626144636j:plain

押し込み式最小絞り警告レバー(D5300)

f:id:trains552259:20210705172903j:plain

押し込み式最小絞り警告レバー付きニコンFマウントSLRにAi AFニッコールレンズを装着した様子

f:id:trains552259:20210626151115j:plain

押し込み式最小絞り警告レバー付きニコンFマウントSLRカメラに非Aiレンズを装着した様子

レバーが押し込まれている

おそらくこれが原因で、最小絞り設定警告レバーの方式が円周方向回転方式から押し込み式になったのだ、と考えていたのですが、この説にはPRONEA Sという反例があって(押し込み式最小絞り警告レバーを搭載したPRONEA SはD1より前のボディだがD1後に登場したD二桁の最小絞り警告レバーは円周方向回転方式を採用している)、それがプロトタイプだったか、あるはマウント面が本体から突き出ているカメラではこの方式を採用することにしたか、ということになります。

とにかく、円周方向回転方式の後に登場したこのタイプでは、ガイドが定位置に来るとレバーを押し込みます。非Aiの際は押し込まれたままになりますが、どうせCPUはない(カメラは「レンズ未装着」と判断する)し関係ないです。

押し込み式のDSLRへの採用時点ですでにDSLR時代半ばに差し掛かっていますが、この時代のレンズはCPUレンズ。ライトユーザーの使うキトレンはとうにCPUレンズだしCPUレンズでも古めとなったDタイプやSタイプには手を出さないっしょ(ましてや玄人ユーザー向けのAi-Sニッコールなんて)、というわけで(これも憶測)このガイドがないカメラが出てきました。これらボディではGまたはEタイプでしか露出計が連動しません。絞り環があると使えない、というわけです。理由はお分かりですね。

 

非Aiニッコールを装着できるカメラ・できないカメラ

というわけで話をまとめましょう。

f:id:trains552259:20210626150520j:plain

Nikon D200 [CPU/Ai連動併用方式]

確認ですが、固定式Ai連動レバーのあるFマウントカメラには非Aiレンズは装着できません。

f:id:trains552259:20210626150106j:plain

Nikon F80 [円周方向回転方式最小絞り警告レバー]

f:id:trains552259:20210626150230j:plain

Nikon D80 [円周方向回転方式最小絞り警告レバー]

f:id:trains552259:20210626150424j:plain

Nikon D5300 [押し込み式最小絞り警告レバー]

初代の警告レバーを円周方向回転方式、第二世代を押し込み式とします。第三世代では何もなくなっています(一周回って外観がNikon Fみたいな単純なFマウントに)。

円周方向回転方式のカメラ(F-401以後Ai連動しないAF銀塩カメラD90くらいまでのDSLR)には非Aiは物理的に装着できません。

押し込み式のカメラとレバーのない第三世代のカメラには装着することができます。ただし露出計は連動しません。

 

ただし、本来の使い方ではないので、自己責任ということになります。また、押し込み式や第三世代のカメラにも装着できない非Ai(おもに初期のNIKKOR Autoレンズなど)も存在するので無理に装着させようとしないでください。ここで言及していない非完全自動絞りレンズ(Nikkor-O 2.1cm 1:4とかNIKKOR-H 300mm 1:2.8(普通絞り)とか)は理論体系が全く別物になりますから注意してください。

また、FマウントのDSLRにおいてすべてのAi連動をしないカメラはDXフォーマット機ですから(ちなみに逆・裏は偽ですね)、レンズ本来の画角より狭く写ります(換算約1.5倍)。35mmは標準になります。そこのところも忘れずに。(だからDfが欲しいんですよ。)

 

ちなみに今回の記事に使用している写真はすべて D7100 + Ai Micro 55/2.8Sで撮影しています(D7100はDXフォーマット機ですがCPU/Ai連動併用方式なので露出計が動きます)が、ごっつ写るな…… "NIKKOR"の看板的な往年の銘レンズです。気になる人はいかがです?

 

余談:マウントアダプターFTZについて考えてみる

ニコンが公式で出しているマウントアダプターFTZは上でいうところの押し込み式に当たりますから、非Ai(一部を除く)も装着することができると思います。が、公式では「非Aiはつけるな」ということになっています。まあDf以外のDSLRにも同じこと言ってますからね。暗黙の了解といったところでしょう。ちなみにZは絞り込み測光なので、Ai連動ガイドがないとか露出計連動関連はあまり考えなくてもよさそうです(Exifに情報が残らないのが残念ではある(撮影後にPCでExifを編集できるアプリをネット上で見つけました。皆さんも探してみてね))。まああえて接点のない他社製マウントアダプターを使うのもアリです。というのもF3AF用の2本が使えるから(もちろんMFですが)。80mmのほうは千夜一夜玉ですし。IXニッコール?マウントアダプター2枚重ねすればいけるんじゃないですか?ま、僕はZ持ってないのでわかりません。Z9ほしいな。Z fcもほしい。あとAi連動してボディAF使えたりガチャガチャできたりするスペシャルエディション外装のマウントアダプター出して。