リトルニコ爺の手記

わかばだいとかいうハンネでTwitterをやってる人が昔やってたYahoo!ブログから引き継いでリスタートした沼みの深いブログ。

ニッコール千夜一夜物語を振り返る

私はフィルムカメラに触れるようになったのとほぼ同時にニッコール千夜一夜物語を知り、それ以来ひたすら読みまくっている人間で、当然登場レンズに心惹かれて収集に励んでいます。小遣いの範囲でではありますが。

 

www.nikon-image.com

ニッコール千夜一夜物語は、現役でニコンでレンズの光学設計をしていらっしゃる佐藤治夫氏と大下孝一氏が執筆している、ニッコールレンズ(たまにニッコールを冠していないニコン製レンズもあるしレンズじゃないこともある)の生い立ちや光学設計について解説する記事シリーズです。初期はニッコールクラブの誌面に掲載されていましたが、第四十二夜を以て終了、その後はニコンのホームページ上で公開されており、現在でも3の倍数月に新しい記事が公開されています。ほかに、少なくとも2度書籍化されています(朝日ソノラマ版とホビージャパンムック版)。

外部の人間が特許などからレンズデータを持ってきて写りを評価しているわけではなく、実際に光学設計の現場に携わっている方が、その先輩(あるいは自身)のレンズの光学設計を解説しているという点で、非常に貴重な資料であると云えましょう。光学設計者本人の人柄に触れられているのも特徴的です。

 

2022年2月現在、同記事は第八十夜まで公開されています。紹介されたレンズの数については、一回に2本まとめて紹介していたりまたは1本のレンズを2夜に分けて語っていたりといろいろなパターンがありますから、80からは前後します(「レンズ」の定義や数え方にもよりますが、80よりは多くなります)。

 

どの業界のどんな商品にも大概上位機種と下位機種があって、メーカーが本気を出すのはたいてい上位機種でしょう。しかし、多くの人が手に取る(取れる)のは下位機種で、「普及機」とか呼ばれたりします。このグレードにおいてもクオリティを保てているメーカーは本物と思って差し支えないと思っています(まずは「高品質の上位機種が存在している」ことが大前提になります)。個人的にはプラチナ万年筆のローエンド万年筆(プレジール・プレピー)やCASIOの腕時計を愛用しています。決してハイエンドモデルではないですが、高パフォーマンスなのでコスパが良いです。少しお高くてもこういうメーカーの物を使うと後々よいと思います。

千夜一夜の話でした。むろん当時の技術を総動員した最高級レンズも登場します(第十一夜:NIKKOR-H 300mm F2.8や第十六夜:Ai Noct-NIKKOR 58mm F1.2、第二十八夜:Ai AF NIKKOR 28mm F1.4Dなど)。しかしそれに勝るとも劣らぬほど普及レンズも紹介されています(第二十二夜COOLPIX 4300(コンデジ)や第四十二夜Nikon LENS SERIES E 75~150mm F3.5、第六十三夜:AF NIKKOR 28-80mm F3.3-5.6Gなど)。普及レンズということはモノ自体も多く出回っていますし、元値も安いですから、中古で非常に入手しやすいんですね(第二十四夜:NIKKOR-T 10.5cm F4「マウンテンニッコール」など例外もあります)。何を隠そうこれが僕がニッコール沼に堕ちていった最大の要因なのですが、折り紙付きの銘レンズに手軽に出会えるというのは素晴らしいことです。

 

各回はそれぞれ「ランダムに」レンズを選択していますので、前後の回でのつながりは必ずしもあるわけではありません。しかしこの物語を読み解いていくと、実はいろいろな所に関係性があることに気が付きます。この「繋がり」を見ていきたいと思います。

 

私自身光学設計の専門家でもなんでもないですが、お付き合い頂ければ幸いです。

 

では今回はこの辺で。