リトルニコ爺の手記

わかばだいとかいうハンネでTwitterをやってる人が昔やってたYahoo!ブログから引き継いでリスタートした沼みの深いブログ。

ニッコール千夜一夜物語を振り返る 第三週 多様な35mmレンズ

イカ判用ニッコール単焦点レンズにおいて、35mmほど個性豊かな焦点距離は無いのではないでしょうか。ニッコール千夜一夜物語に登場する35mm単焦点を見てみましょう。

 

人気の35mm

35mmはちょうど標準と広角の中間にあたる焦点距離であり、準広角などと呼ばれたりします。『ニコンS型カメラの時代、カメラマンの三種の神器と言われたのが、3.5cm、5cm、8.5cmの3つの焦点距離のレンズでした。』(第三十七夜)などとあるように、非常に重要でポピュラーな画角です(「三種の神器」については、第二十一夜に『当時の交換レンズで“三種の神器”と言えば、3.5cm、5cm、10.5cmでした。』とも記載がある)。交換レンズとしてはもちろんのこと、レンズ固定式のカメラに搭載されるレンズとしてもよく選択された焦点距離でした。また標準ズーム成長期にもワイ端の焦点距離としてよく選択されました。そういう意味では近年では役目を28mmに奪われ気味とも云えます。

せっかくなのでレンズタイプ別にみていきましょう。

 

クセノター+ダブレット

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初手から変化球になりますが、ニッコール千夜一夜物語で最初に触れられた35mm単のお話です。発売当時もっとも明るいF1.8という口径を持ったこのレンズは、対称型のひとつであるクセノタータイプを基本としながらも、像面側に配置したダブレットで諸収差を補正しています。変形ガウスとも言えそうですが少し無理がありますかね。どちらにせよ、Z 35/1.8 Sとは比べ物にならないくらい小型なレンズです。

ところで、本文中で触れられている『しかし、博識の読者はお気づきかもしれません。最近になって、このレンズタイプを受け継いだレンズが登場したことを。』が指すレンズはいったい何でしょうか。私は博識ではないので残念ながらいまだはっきりとした結論には辿り着けていませんが、この記事が公開されたのがおそらく1999年、それ以前に発表された一眼レフ用ではない35mm級単焦点レンズを考えてみると、Coolpix 600(1998/3、搭載レンズ換算36mmF2.8)の可能性があります。ここの解明は今後の研究課題です。

 

ダブルガウス

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ガウスタイプの光学系が適する画角のうち35mm(2ω= 62°)は最も広く、つまりこれより広角側のレンズにガウスタイプのものはおそらくありません。一眼レフではバックフォーカスの都合上ガウスタイプの35mm単は作れませんが、そうでないカメラにはガウスタイプ(というよりは対称型全般)の広角単焦点を積んだものが存在します。

W- 3.5cmF2.5も、発売当時は最も明るかった35mmレンズでした(1952年の話ですからね)。F1.8と違いこちらはきれいなダブルガウスになります。

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この光学系は優秀であったため、小改良を加えてニコノス用のレンズに生まれ変わります。ニコノスは一眼レフの時代(1963年)に入ってからの発売ですが、水中カメラという特性上、ミラーボックスを搭載せずまた防水の専用マウントを採用しているため、バックフォーカスの制約がありません。おかげでニコノス用レンズとしてだけで35年を超えるロングセラー光学系となりました。

 

ゾナー

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 NIKKORではなく“Nikon Lens”、NIKKORを名乗れなかったニコン製レンズです。OEMですらなくちゃんと社内で設計されています(NIKKORを名乗るOEMレンズもありますけどね……)。

フィルムコンパクトに搭載されるレンズはテッサータイプが多かったとのことですが、このレンズはゾナー。4群5枚です。35mmでゾナーってすごくないですか???第36夜の復習ですが、ゾナータイプ(というか一般的に非対称な光学系)は近距離収差変動が大きいことが知られていますが、それも『非常にうまく補正している』のです。出遅れるのが常なニコンですが、しかし遅れながらも本気で仕上げてきていることがわかる、そんな一本(一台)です。

 

レトロフォーカス

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これでやっと一眼レフ用の光学系になります。焦点距離35mmは一眼レフのバックフォーカス長(40mm超)よりも短いので、上述の通り構造上対称型のレンズは作れません(レンズをミラーボックス内に突っ込む形にして作った対称型広角単焦点-O 2.1cmF4ですね)。バックフォーカス長を確保するために光学系の最も物体側に凹レンズを挿入し、いわゆる逆望遠型の配置にしたのが初期のレトロフォーカスタイプでした。

時代が下ると、このレトロフォーカスタイプ(の凸群)にさらなる最適解が見いだされます。それを初めて採用したのが-H Auto 28/3.5です。この発明を35mmにも採用して誕生したのがNew 35/2.8となります。第三レンズ以降が凸(絞り)凹凸凸の形になっているのがわかります。

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一眼レフ用の35mmも改良され明るいモデルが発売されていきます。F2.8の次に発表されたのがF2でした。

一般に、レンズの明るさを上げると(性能を確保するために)レンズが大きくなります。これは前玉径にも言える事です。しかし、FマウントNIKKORではフィルター径を極力φ=52または72に統一していましたから、特殊用ではない35mmレンズの前玉径の目標も52mmに設定されていました。大口径化とフィルター径の制約、相反するように思えるこの二つの条件を達成させるために採用されたのが、New 35/2.8でも採用されている絞りの前の厚肉レンズです。

『レトロフォーカスレンズの基本構成ともいうべきNikkor-H Auto 28mm F3.5』を踏襲し改良を加えて大口径化したこの光学系は非常に息が長く、Auto代からAI-Sまで、しかも継続販売レンズとしてAF-S ~Gの時代まで販売され続けました。

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35mmレンズはさらに大口径化されます。

ところで、明るいレンズは何のためにあるのでしょう?明るさを抑えればレンズを小型化できますし、使用するレンズの枚数も少なくなって値段も抑えられます。また解像性能も上げやすいです。しかしながら、サイズが大きくなり値段が上がっても、レンズが明るくなければならない場面があったのです。

それは主に暗所での撮影です。今でこそ躊躇なくISO感度を12800のような値に上げることができますが、当時はフィルムの時代です。高感度といってもせいぜい1600や3200。800でも高感度フィルムの扱いでした。そして面倒なことに、フィルムには相反則不軌という特性があり、長時間露光の際には一段絞った際に同じ露出を得るために必要な露光時間が倍以上必要になります。一段の明るさの重みが今と全然違ったのです。

35/1.4の光学系を見ていきます。これも-H Auto 28/3.5で完成した後群凸(絞り)凹凸凸のレトロフォーカスタイプを踏襲し、明るさを確保しつつ発生する収差を補正するために、レンズを分割し曲率のゆるいレンズを多く配置しています。レンズの曲率半径を小さくすれば、ある収差を補正する能力が高まりますが、そのかわり他の収差を大きく強くしてしまいます(『毒で毒を制す』)。コーティングが進化し、空気とレンズの境界面で発生するゴーストを抑えられるようになると、これを最大限活用して、枚数を増やして曲率半径を大きくする方向に舵を切るようになりました。このレンズも、今みれば少ない枚数ですが、当時は7群9枚は豪華だったと思います(2段暗い35/2.8は、上の通りNew代時点で6枚構成でした)。

 

おまけ1

レンズ枚数を抑えた小型軽量な35mm単焦点を1本紹介します。Nikon LENS SERIES E 35mm 1:2.5です(F2.5の再来!)。千夜一夜ではE75~150/3.5の回に名前だけ登場し、光学系についての解説はありません。

光学系としては、-H Auto 28/3.5の第1レンズと第2レンズを一枚の凹メニスカスレンズに集約したような5群5枚レトロフォーカスタイプになっています。上述のF2.8と比べて大口径化と低コスト化が図られた一本です。

 

おまけ2

こんどは逆に高級コンパクト。そう、35Tiです。レンズはNIKKOR 35/2.8(コンパクトには NIKKORの名を入れない主義のニコンでしたがこれは別格)、4群6枚の構成です。4群6枚といってもダブルガウスではなく、「脇本タイプ」の対称型であることが第一夜で明言されています。

 

35mmレンズは扱いが難しいと言います。うまくやらないと記録写真になってしまい、作品が作りにくいのです。しかし、ハマればなかなかいい絵を返します。35mm単焦点の歩んだ歴史に思いを馳せながら撮影に臨んでみてください。

 

(余談ですがこの記事書き始めてから一年弱も温めてたらしいです、片手間ブログなので仕方がないですね。ここまでご覧いただきありがとうございます)

【特急】を返して欲しい千歳烏山アンチの独り言

京王ユーザーとしてこれだけは許せないのでちょっとぐだぐだ書いてみます。

前提として、中の人は京王相模原線若葉台駅の民です。車庫駅あるあるなのかもしれませんが路線図上は冷遇されています。そしてダイヤ上でも冷遇されています。

 

経緯

事の発端は2015年(そんなに昔だったのか)。少し前に【特急】の停車駅に分倍河原と北野が追加され(同時に【準特急】は高尾線内各停にされてたはず)、高尾山口に行くしかなくなっていた【準特急】の停車駅に、笹塚と千歳烏山が追加されたのです。

たしかこの頃は本線優等でも【準特急】は20分に1本(京王馬車軌系統は原則として10×2の20分で1サイクルのパターンダイヤ)、【特急】と交代の運転で、【準特急】に当たったら少しため息をつく程度でした(なぜ相模原線民が本線優等の本数を気にするのかというと、若葉台以東の優等通過駅の人間は明大前以東に行くのに調布で接続する本線優等に乗り換えるから)。

当時から若葉台〜明大前の定期券ユーザーでしたが、この停車駅追加についてはまあ理解はしていました。特に笹塚については、都営新宿線方面に向かうのに一旦明大前で降りて後続の【各停】に乗り笹塚でまた乗り換える必要があった時代を知っているので納得でした。千歳烏山は……どうでしょう。

準特急】の本数は次第に増えていきます。京王のことを疑い出したのはこの頃からでしょうか、下り調布で悪名高き(?)急急接続をし始めたのです。連続して走る本線系統(府中方面)と相模原線系統の優等(【特急】・【準特急】・【急行】)同士が調布で接続を取る(そもそも優等が連続して走るダイヤってどうなのさ?っていうのは置いておくとして)。ここで強調したいのは、この接続が本線の東府中以東および府中競馬正門前相模原線の京王稲田堤を除く若葉台以東の旅客をガン無視している点です。これらの旅客も少なくないですからホーム上に人が溜まり、優等ユーザーにとっても快適とは言えない結果になっていたと感じます。結局急急接続は廃止され、相模原線緩行に優等2本が順に接続を取る形になりました。

そして2022年3月、悪夢が始まったのです。

 

現状

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このときのダイヤ改正の大まかなトピックは

  • 京王ライナー〕明大前での客扱い開始
  • Mt.TAKAO〕定期化
  • 準特急】廃止、【特急】に統合

でした。上二つについては別になにも感じません。〔京王ライナー〕を使うことのできない若葉台の人間にとってみれば、渋谷から京王に乗ってもライナーの恩恵に授かれる一駅先の利用客の利便性なんてどうでもいいのです(まあ商売としてはとってもいい変更だとは思います。踏切の都合上客扱いしなくても運転停車はしなくちゃいけないので)。〔Mt.TAKAO〕号に関しては無関係すぎて忘れてました。

ちなみに上で触れた急急接続の廃止もこの改正によるものです。唯一この点だけは評価できます深夜帯に残っていました。早く帰れると思ってわざわざ混んでる現【特急】に乗っているというのに、接続電のない調布に降ろされると騙された気分になります。ああ全く腹立たしい!

問題は追加料金の不要な一般種別です。『【準特急】を廃止』という言葉に騙されてはいけません。この改正で行われたのは間違いなく【特急】の廃止です。

大切なことなのでもう一度言います。
廃止されたのは【特急】です

つまり最優等種別が【準特急】になったわけですが、ここでいう【準特急】とは、笹塚と千歳烏山に停車し、高尾線内は各駅に停まる【準特急】です。【特急】が千歳烏山はおろか分倍河原や北野を通過していたころの【準特急】(=前【特急】)よりはるかに停車駅が多いのです(ちなみに高尾線内においては現【特急】よりも【急行】の方が速いというよく分からないことになってます。知ったこっちゃないですが)。仮にも「特急」を名乗る列車が過去の【準特急】よりも遅いとは何事でしょうか。まあその程度のことで騒ぎ立ててるわけではないのですが。

現【特急】がこの色なのはミスではなくわざとです。事実、運転士用の種別現示では【特急】(「特」)がなくなった今でも「準」扱いされています。

こうして「千歳烏山問題」が誕生した(というよりはより一層深刻化した)わけです。ちなみに北のお隣中央線における同様の杉並三駅問題よりもよほど悪質ですよね。毎日停車だし最優等種別だし。

 

重荷を負わされ見捨てられた多摩民

上述の通り、笹塚停車には一定の理解を示すことが可能です。しかし千歳烏山に関しては、停車するに足る理由は皆無であり、あったとしても停車すべきでない理由に比べれば塵のようなものです。

なぜ千歳烏山に優等を停車させるべきではないか。それは「遠近分離の否定」これに尽きます。【特急】が分倍河原と北野を通過していたころ、事実上の最優等であった【準特急】は平然と千歳烏山を通過していました。これによって、(対明大前以東の輸送に関して)調布以西ユーザーと布田以東のユーザーが棲み分けられ、言い換えると優等には調布以西~明大前以東間の利用者以上の人数は乗らず、残りは中間種別や緩行が請け負っていました。これにより混雑が分散され、全体としてよりよい結果(速達化)が得られることになります。

この効果は現状と比較すれば火を見るより明らかです。千歳烏山に現【特急】が止まることにより、同駅で多くの旅客が乗車(上り)または降車(下り)しています。その分だけ列車は混雑するわけです。朝や夕方のラッシュ時はこの傾向が顕著です。調布以西の旅客を積み込んで既にドア前まで人があふれかえっている車内に千歳烏山が追い打ちをかけ、明大前で乗ってきたドア前の旅客を車内奥にいる千歳烏山民が押し退けて降車する。このような調布以西ユーザーにとって極めて煩わしく腹立たしい事象が毎日起こっています(大げさではなく本当に毎日です)。そして下り続行の【急行】【区間急行】はガラガラ(これまた大げさではなく、優等がドア前までぎっちり乗ってるのにこの2種別は座席の前ですら埋まってないことが多いんです。まあ着席はだいたいつつじヶ丘までお預けなんですが明大前から座れることすらあります)。

千歳烏山で現【特急】に乗降する人たちはもちろん布田~千歳烏山間のユーザーです。この人たちにとってみれば、八幡山などで優等の通過待ちをする先行の緩行に乗り続けることなく、その追い越す優等に乗れるわけですから、対明大前以東における速達化が達成されています。実際に現【特急】に乗っているのはほぼ全員千歳烏山ユーザーです。現【特急】に(原則)抜かされない中間種別がある以上は布田~仙川民は現【特急】に乗り換える必要性は低いです(日中に八幡山退避の【快速】との接続に使っている可能性はあります)。というか下り【区間急行】に乗ってても千歳烏山で乗ってくる人(即ち仙川~布田ユーザー)は僅かで、現【特急】を利用し千歳烏山で降車する人がほとんど千歳烏山で改札を出ていることと想像できます。要は現【特急】の千歳烏山停車は千歳烏山ユーザーの役にしか立っていないわけです。その代償は誰が負っているのでしょうか。そう、「この人たち」千歳烏山ユーザー以外全員です!

加えておくと、千歳烏山・明大前両駅で開くドアが同じなのが輪をかけて最悪です。明大前で降りるのに千歳烏山で乗ってきた人が退かず降車に時間がかかって井の頭線を逃したり、明大前で乗っても千歳烏山で降りる人を通すために一旦ホームに降ろされたり(心無い乗客に突き飛ばされたこともあります)。個人的にはこういうことの積み重ねが千歳烏山に恨みにも似た感情を抱くことにつながっています。

あえて言っておきますが我々調布以西の民が千歳烏山停車によってなにか嬉しいことがあったりすることは一切ありません。遅達化に混雑の増大。負の要素しかないです。どこかの記事で千歳烏山停車が将来的な千歳烏山接続への布石だとか書いてありましたが、たとえ千歳烏山が2面4線になって【各停】との対面乗り換えができるようになったとしても千歳烏山への優等の停車には反対です。正しい【特急】【準特急】を復活させて現【特急】を【急行】にするんだったらいいけど。

ちなみに、千歳烏山停車が例の傷害事件(cf. 京王線刺傷事件 - Wikipedia)の影響だと言われることもありますが、それは事実ではないと思われます。というのも、千歳烏山停は件の事件以前から行われていましたし、客セへの問い合わせに対する回答でも「安全確保のため」と説明されたことはありません。もしそうなら〔京王ライナー〕はどうなるんだという話にもなりなすし(もっとも乗客数が少ないですが)。

ライナーでは不十分な救済

京王ライナー〕を使え?使えたら使ってるわ!(一番最初/最後に通過される若葉台民)というのもそうですが、京王永山以西の人間にとってもライナーは救済として不十分です。

第一に、〔京王ライナー〕は運転される時間帯・方面が限定されている列車です。朝の上り、夕方の下りしか〔京王ライナー〕は走りません。しかしながら【特急】は一日中千歳烏山でお荷物を載せたり降ろしたりしています。

第二に、〔京王ライナー〕は運転本数が限られる列車です。たとえば夕ラッシュ時間帯では、どんなに増えても一方面あたり40分に1本の運転です。【特急】は20分に3(本線2+相模原1)本走っています。救済するには本数が少なすぎます。

第三に、一応書いておきますが〔京王ライナー〕は停車駅の特性上救済能力に限りがあります。問題の区間は明大前~調布ですが、若葉台はおろか(ある意味一番腹が立っているであろう)調布の人間すら救済されません。

最後に、〔京王ライナー〕は座席指定列車である以上有料ですし座席数に限りがあります。お金を払えば乗れるって言ったって席が空いていなければ話になりません。救済できる人数が救済を受ける可能性がある人に対して少なく設定されています。

そもそもライナーって使いたいと思ったときに使える選択肢の一つにすぎず、毎日使うようなものではないはず。ライナーを救済と考えること自体がナンセンスという感じもします(何言ったって乗れないものは乗れないんですがね!!!)。ライナーへの誘導だとするなら関係ない人間を巻き込みすぎではないでしょうか。

 

提言

文句だけ言って逃げるのは嫌いです。人と話をするときは「じゃあ改善するにはどうしたらいい?」を伝える必要があります(逆にそれを聞き出すことで効率的に改善につなげることができます)。何が問題で、それを改善するには何をする必要があるか、というのはセットになっているべきです。

確認しておきたいのは、笹塚停車には一定の利点があるということです。一つ前の【特急】の停車駅に笹塚だけを付加したものはなんとなく気持ちが悪く、それなら前【準特急】でいいかな、とは思っています。旧【特急】を復活させたいところですが、分倍河原乗り換えの南武線の民に白い目で見られそうなのでやめておきます。

現状20分サイクルの京王馬車軌線では調布~笹塚間の片方向に1サイクル当たり日中は7本、夕方は8本以上が運行されています。これに関して、こんなに多いから詰まるのでは?配分を最適化しダイヤグラムに余裕を持たせることで全体の速達化を達成できるのでは?と考えています。

本線系統に関してはどの10分単位にも緩行と優等が欲しい。相模原線優等は20分に1本でよく(相模原優等いる?っていうのは置いておくとして)緩行は10分に1本、と考えると、20分単位で【特急】(もちろん笹塚と千歳烏山は通過)を各方面1本の計2本、【急行】本線が1本、もう片方の10分に都直【区間急行】相模原系統を1本、さいごに【各停】を10分毎に設定するのはどうか、と考えています。現行との違いは【快速】を廃止したところです(相模原線緩行はつつじヶ丘で返します)。代わりに【急行】を設定し中距離の速達化を図っています(つつじヶ丘のほか桜上水でも【各停】に接続)。まあ本線優等は府中までに府中以西全域と、上述の通り調布で必ず相模原線若葉台以東の客を拾い混雑が見込まれるため、本線をすべて【特急】にし相模原線系統をすべて【急行】にする方が分かりやすくて良いと思います。ミソは遠近分離とその上での効率化です。

というか上下で同じパターンにする必要もないですよね。二股に分かれている以上上下で事情が異なるので、これを上手い具合に調整できればいいんじゃないかなと思います。

朝ラッシュ時の現【特急】は本当に最悪です。これに関しては逆に【急行】【区間急行】を増発することで対応していただきたいです(聞いてくださいよ、若葉台駅上りって8時台の方が日中よりも事実上本数が少ないんですよ!!!)。身内に井の頭線っていう恰好の見本があるんだから参考にして欲しいですね。

遠近分離を徹底すれば夕ラッシュ帯の混雑は自然に改善されるのではないでしょうか。朝よりは混み方がマイルドですから、うまく中間種別に誘導することで混雑を分散させることができるはずです。

 

おわりに

https://www.keio.co.jp/news/update/news_release/news_release2022/nr20221216_daiyakaisei.pdf

あのとんでもない改悪からおよそ9か月、耐え難きを耐え、忍び難きを忍び、地獄からの解放を夢見て確認した2023.3ダイヤ改正のプレスリリースは、全く目も当てられない酷いものでした。当然ながら減便も愚策です(特に井の頭線に関しては輸送力が足りてない状況まあ渋谷方に混雑が偏りまくってるせいではあるいやいくら休日の19時台だからといっても10分ヘッドはやりすぎだし日中も8分サイクルは馬車軌線のダイヤとの相性が悪すぎるしでやっぱり微妙)。

krs.bz

以前から何度も京王にメール送ってるんですが一向に改善に動く気配がなくあきれています。役員が千歳烏山住民に弱みを握られてるのか、はたまたスジ屋が救いようのないドアホなのかは知りませんが、そろそろいい加減にしてほしいです。客セがどう返信しようと、(少なくとも私は)多摩民として最優等種別の千歳烏山停車は断固として認めませんし、一日も早い是正を求めています。

 

京王のダイヤ関連でもう少し文句を言っておくと、

  • 平時から遅れすぎ
  • 一部時間帯における調布での逆向き乗り換え(相模原線⇄本線府中方面)の便が悪すぎる
  • 競合他社と所要時間で競る気がまるでない(若葉台〜新宿と若葉台〜永山(小田急)新宿がほぼ同じ 特に朝ラッシュ時)

朝ラッシュ時間帯は複々線化してる小田急の方が明らかに有利なので置いておくとしても、それ以外は現状の設備でもダイヤによって十分に改善できる命題だと思います。特に定時運行のできなさは多くの人から指摘されていると思いますし、今に始まったことではないですよね。井の頭線ですら遅れまくってますから単純にダイヤの設計ミスだと思います。まあすべての人が納得するダイヤというのは難しいと思いますが、ダイヤで何とか出来る問題が多い以上は改善して欲しいものです。

640Fを買ったので盛大に自慢します

自慢回です。あんまり中身はないですがお許しください。

 

640Fを買いました。

ちなみにC101に連れてってます(前回の記事の写真にも写り込んでます)。

 

640Fとは

シリアルナンバー(以下S/N)が640****のニコンFのことです。ニコンFのS/Nは640****から始まるので、要は最初期のものということ。一般に初期モデルや若番のものは珍重されるもので、欲しい人が多い反面個体数は少なく、プレミアがつきます。乱暴な言い方をすると、番号に希少価値がついてるといった感じ。

ニコンF自体は1959年の発売から1979年まで販売されており、その間にいろいろと変更がなされています。つまり、初期型には初期型にしかない特徴があるのです(だからこそ珍重されます)。これはあとでゆっくりじっくり見ていきます。

 

Nikon F 概観

ニコンFそのものについて少しまとめておきます。

Nikon F

型式

135フィルム用一眼レフレックス

機械制御式フォーカルプレンマニュアルフォーカスカメ

レンズマウント ニコンFマウント(接点なし・ミラーアップ機構あり)
交換レンズ 絞り環のあるレンズ(及び絞り非搭載レンズ)(ミラーアップが必要なレンズも装着可)
ファインダー 交換式(アイレベル・ウエストレベル・アクション・フォトミック・フォトミックT・フォトミックTN・フォトミックFTN)
フォーカシングスクリーン 交換式
ミラー クイックリターン式、ミラーアップ可(空写しが必要)
プレビュー プレビューボタンにより絞り込み可能
レンズ絞り 瞬間復元式
シャッター 機械式チタン幕*横走りフォーカルプレンシャッター
シャッタースピード T, B, 1~1000 X=60 全速マニュアル動作
セルフタイマー 機械式 ~10"

*)ごく初期のモデルは布幕らしい

完成された一眼レフカメラとして世に送り込まれた伝説の一眼レフカメラ。「完成された」というのは、完全自動絞り・クイックリターンミラー・正立正像を得るアイレベルファインダーの3つが同時に達成されたカメラであることを意味します。これがそろったのはFが最初らしいです(要出典)。ちなみにF登場の時点でレンズの絞り値とSSとに連動した露出計(「ニコンメーター」、外光式)が用意されており、のちにTTL測光ができるフォトミックファインダーが追加されます。

Fが「伝説」と呼ばれるのは、これらの機能が備わった上で、きわめて造りが堅牢であったからです。また多彩なレンズ群やアクセサリの供給があって、はじめてプロがこぞって使うカメラになったのだと言えます。実際、ニコンFのためにたくさんのレンズが新規に設計されました。フランジバックの問題がありますから、既存のレンジファインダーニッコールはFマウントにはほとんど流用できず(そのまま流用したのは10.5cmF4と13.5cmF3.5くらい?)、一からの設計になったのはニッコール千夜一夜物語で度々語られている通りです。それだけの思い切った投資をするだけの価値が一眼レフにはあったのです。長くなりそうなのでこの辺にしておきますが、光学設計に革命を起こしたのはニコンFを念頭に置く一眼レフカメラであることを確認しておきます(Zも同じ)。

 

Fの世代

Fには世代がまあまああります。長期間発売されてましたからね。ざっくり「前期」「中期」「ニューF」の3つに分けられます。「前期」はボディ軍艦部に日本光学の「おにぎり」マークがあるもの。「中期」はここが"Nikon"表記のもの。後期は「ニューF」と呼ばれ、まあ"Nikon"表記ではあるのですが、Nikon F2に倣ってセルフタイマーと巻き上げレバーに黒いプラスチックの指あてが付いた、見た目の印象の変わったモデルになります。市場的には中期が最も多く最も安いです。ニューFや前期はちょっと上に見られます。

そして前期のうちでもS/Nが若くなれば若くなるほど値段が上がっていきます。最も若いのが640****です。時期や店にも寄りますが、69*****と640****を比較するとどんなに安くても2倍は差がある感じがします。かなり強気な値付けをしているところだと640Fに10万円超の値をつけていたりします。年代によって10倍も開くんです。ひえぇ。

 

640Fの特徴

ちなみに厳密に640万代にしかない特徴かというと微妙だったりします。製造が続けられていた以上、徐々に改良を加えていったはずなので、いろいろな組み合わせがあると考えられます。というか640万代の中でさえ差異があります。(R05.2追記)

じっくり眺めていきましょう。ちなみににこら氏のNikon F(中期)と見比べて発見した違いをまとめています。ぜひお手元のFと比べてみてください。

正面

Nikon F (640万代) 正面

まずは正面。「普通の」Fとはこの時点ですでに何かが違っているのです。

正解は、セルフタイマー。模様がナナメに切ってあります。後の世代の個体はこれが鉛直向きになり、ニューFではプラ製の指あてが付いた別のデザインになります。

銘板も正解です。後の代ではフォトミックファインダーを装着しやすいように銘板の短辺が底辺が短くなるように弧を描いているのですが、640Fではほぼ等脚台形になっています。

あと外観の仕上げも、中期以降のものよりもギラギラした感じになっています。並べてみればわかる地味な違いですね。

 

軍艦部

軍艦部左手側

全体的にそんなにきれいな個体じゃないことはお許しください。

違いは結構たくさんあります。巻き戻しクランクの先端の丸い部分は回転せず柄と一体になっています。またその下の接点は丸の形をしています(6408***の個体にここが角ばっているものがある模様(R05.2追記))。ファインダー・フォーカシングスクリーン取り外しのボタンにも切り欠きがありません(こればっかりは正直使いづらい)。ファインダーは角窓です。

軍艦部右手側

銘は当然ながら「おにぎり」マークです。ここも違いが多く、SS銘板のネジが1本、文字がやや小さい、巻き上げノブの意匠が異なる、とこれだけあります。

 

フィルム室

フィルム室右側

Fなので裏蓋は蝶番式ではなく取り外し式です。ちょっと面倒ではあります。

フィルム装填の際に差し込むスプールの切れ込みが1つしかありません。後の世代だと増えており装填しやすくなっています。この個体の幕は金属(チタン)製でした。布幕、伝説級ですよね……

ちなみに巻き上げノブは裏が肉抜きされています。少し後の代からは肉が詰まってますよね。前述の通りニューFはF2に倣って指あてが付きます。

 

裏蓋

裏蓋内部

スプールに向かい合う位置にパテントが刻まれています。

開閉クランク(裏蓋左手側)

開閉クランクにJAPANの刻印があるのがわかりますでしょうか。

ちなみにこの形状から察しが付くように、Fはフィルムマガジンが使えます。

フィルムインジケータ(裏蓋右手側)

装填したフィルムのASAを覚えておくための表示です。フォトミックファインダーの測光とは全く関係がない飾りですね。デザイン(?)が他のFとは大きく違います。

ちなみにこの表示は裏蓋を取り外して上下からつまんでやらないと回りません。今はフィルム入れないのでE(Empty)にしてあります(合ってるよね?)。

 

ファインダー

ファインダー正面内側

Fのアイレベルファインダーは大きく丸窓(視度補正レンズなどをねじ込める)と角窓があるのですが、各窓の中にも少なくとも2世代あります。後期は"Nikon F"銘で、前期が写真の通り"NIPPON KOGAKU JAPAN"銘になります(ニッコールオート側での銘の変化の順からしてこれで間違いないでしょう)。ファインダーはバラバラにされて流通しがちなので、ここまでそろっているのはかなりポイントが高いです。

 

雑談

640Fにつけたいレンズといえばアレでしょう、NIKKOR-S Auto 5cmF2。メルカリを流してると640Fの多くがこのレンズとセットで販売されています。このレンズこそFマウント最初の標準単焦点です。7枚玉であることが特徴です(のちの世代では6枚玉になっている。cf.ニッコール千夜一夜物語第二夜)。このレンズも、9枚羽根・R表記・チックマークだと値段が吹っ飛びます。僕も持ってはいますがしがない6枚羽根です(ちなみにこのレンズも銘板の文字が-H Auto 50/2比で小さいですよね)。

NIKKOR-S Auto 5.8cmF1.4もいいですね。こっちもかなりレア。AF-S 58/1.4G("AFノクト")とは違って、F1.4の明るさの標準単の焦点距離を50(51.6)mmまで縮められなかったが故の産物です。まあこの焦点距離AI Noct 58/1.2を介してAF-S 58/1.4G(そしてZ 58/0.95 S Noct)につながってることは事実なのですけれども。

 

使い勝手ではやはりF2には劣りますが、それでもさすがはニコンF、露出さえ取れればクセなくきちんと動いてくれます。「一般的な」カメラとの操作の違いってスプロケット解除と裏蓋操作くらいですからね。旧式にありがちな独特の操作系が少ない、扱いやすいカメラに仕上がっています。

まあ文句を言うならば、いつも使っているF2と比べて

  • シャッターロックがない
  • 1秒超の長秒シャッターの設定がない(F2はT設定でセルフタイマーを設定した上でシャッターを切ると10秒までの長秒が切れます)
  • ミラーアップに空写しが必要
  • 多重露光が極めてやりにくい(F2はスプロケット解除ボタン押下でできるがFでは裏技が必要)

といった技術的な弱点があります。ここら辺を鑑みてF2が最強の機械式ニコンだと思っているのですがいかがでしょう。特にミラーアップに関しては-O 2.1cmをつけるかもしれないじゃないですか(持ってない)。OP-Fisheyeが転がり込んでくるかもしれないんだし(そんなことはまずない)。

まあ構造はミラーボックス以外はSPそのものですからね(にこらさん曰く「SPを触ってる気分」)。最初は新しいガワに現行の中身を入れておいて、落ち着いてきたらガワの改良に合わせて中身も一新する。Fマウントニッコールレンズ史を概観すればお分かりいただけるように、これがニコンのやり方です。そう言う意味では――Fを信仰している読者の諸君には大変申し訳ないですが――暫定機のFに対して、本当の初代FマウントフラッグシップはF2だったのかもしれません(事実それ以降のFやZではフラッグシップボディが後から出たわけで)。

 

というわけで、640Fを買ったぜ!ってお話でした。ここまでお付き合いくださりありがとうございました。

2023年ほしいもの

<R05.3更新>一部加筆修正

 

晦日コミケでつかれてぶっ倒れてたら正月終わってました。1月も下旬ですが皆さまいかがお過ごしでしょうか。2023年もよろしくお願いします。

 

誰かに影響されてほしいものを挙げてみることにします。ありがたいことに物欲は不滅!

 

AI AF Zoom-Micro ED 70-180/4.5-5.6D

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たまーに入ってくるけどまあまあお高いから手が出ない子。中望遠ズームは増えがちですが、大口径のほかに「寄れる」のはなかなか強力な個性になるはずです。特に中望遠マイクロは何かと役に立つので(55mmマイクロは被写体が歪んでしまうことがあるため)。

せっかくズーム・フォーカシング方式を理解したことだし、実際に手に取って試写してみたいですよね(その前に試写すべきレンズがたくさんあるだろっていうのは言わないお約束)。

 

AI AF-S Zoom 80-200/2.8D IF-ED

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これもまあまあお高い。Zoom-Microと同じくらいの少なさでなかなかお目にかかれない、はずなのに、身内では結構持ってる人がいる不思議な子。互換性が高く写りの評判もいいので、そもそも人気のスペックというのもあってこうなってます。僕も欲しい。

まあ妥協案としてAF 70-200/2.8G VR(Ⅰ型)でもいいかな。ボディはD200だし(Ⅰ型の「ナナニッパ」はDX用に中央部の解像力に重点を置いて設計されたとか)。

 

NIKKOR-S Auto 5.8cmF1.4

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640Fにつけたいレンズの一本。-S Auto 5cmF2もいいけどFにはF1.4ですよね。まあ見ないんだけど……松屋銀座案件?

 

AF-S DX 12-24/4G IF-ED

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最初のDXレンズは超広角ズームでした。なんでこの子にこだわるのか(AF-P 10-20Gなどに行かないか)というのは、千夜一夜玉だからというのと、AF-Sだからというのと、ニコンダイレクトでまだ新品が手に入るから。新品のレンズ欲しいじゃないですか。ちょっとお高いけど(バイトの身には)。

 

New 28~45/4.5

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地味に気になってる子。スペックがスペックというのもあって実はそこまで高くないし、気が向いたら買ってみようかな。ちなみにF2ウエムラスペシャルの写真についてるごついレンズはこの子です。

 

NIKKOR-N Auto 24/2.8

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購入して到着待ち。28があるなら24も欲しいよね。となると-UD 20/3.5も欲しくなるわけだけど(代わりにNew 20/4がいる)。-O 2.1cmF4は諦めの境地です。

 

AI AF Micro 105/2.8D

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年明け一発目にAI Micro 105/4Sを買ったんですが、想像と違ってレンズユニットをバラせず、結局まあまあなカビが残った状態で留置してます力で押し切って開けて光学系洗浄を行いました。ヘリヤー型はほとんどトリプレットと呼んでもいいくらいトリプレットですが、トリプレットは精度に厳しい(cf.52夜)ので、はじめっから光学系全体を1ユニットにまとめてしまったのは鏡筒設計としては合理的です。ばらせないばらしにくいんですが。

せっかく買い替えるなら、AFだと嬉しいですし、千夜一夜玉だともっと嬉しいわけです。お値段次第ではお迎えしたい子。(まあその点最初に挙げたZoom-Microが上位互換として存在するわけですが、そんなすぐに買えないんで……)

 

Nikon Z 50 + Z DX 16-50

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小型軽量の常用カメラと重め大きめレンズをつけてがっしり使うミドル級ボディの両方を兼ねるカメラとして迎え入れたいZマウント最初のDXフォーマットボディ。肩液晶がなかったり物理ボタン(ダイヤル)が少なかったりとD7000シリーズに劣る操作性ですが、サブコマンドダイヤルがついてるのでギリギリ許容かなといったところ。高感度耐性なんかはD200とは比べ物にならないでしょうし。

もちろん16-50をつけっぱにして鞄に入れておきます。あと一緒にFTZも買ってFマウントニッコール資産も有効に使っていくつもり(欲張り)。

ところでZ 70まだですかね?Z DX 16-55/2.8-4 Sも出てきてもおかしくないんですが。

 

Nikon Z 6

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(とくに非AIのオールド)ニッコールレンズの母艦として使っていきたいボディ。D600もいいけど、専攻が専攻だから非AIが多いもので。

Z 5でもいいのかもしれない(肩液晶を失って尚足る何かがあるならZ 5に行くかも)。

 

Z 24-70/4 S

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Zマウント初期の標準「小三元」ズーム。Z 6あたりのキットレンズだったり、Z 24-70/2.8 SやZ 24-120/4 S、Z 28-75/2.8など対抗馬が出て来たりしたことでかなりお求めやすい価格になってる子。

千夜一夜本(ホビージャパンムック版1)の冒頭のインタビューで大下氏が『撮るのが天体メインなので、今はZ 6を使っているのですが、キットレンズのNIKKOR Z 24-70mm f/4 Sは抜群によくて、他には要らないと思えるほどです。ヌケもよく高い解像で、硬い感じがむしろないほどです。』と絶賛していたのでZに行ったら絶対買おうと思ってます。FXフォーマットZボディはこのレンズ(と非AI)のためだけに欲しいまである。

 

Nikon V1

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ニコン初のレンズ交換式ミラーレスボディの一台。Autoが主たる専攻ではありますが、ニコワンも可愛がってやってる方だと思ってるので、やはり最初は押さえておきたい。もちろん欲を言えばJ5も欲しいんですがそんな余裕はないですね。

一時期店にあって買おうか迷ってたんですけど、迷ってる間に出ちゃいました。地味に後悔してます。やはり中古の世界は一期一会。悩んだら負けですね。反省も込めて、次見つけたら買います。値段にもよるけど。

ちなみにちゃんと動くニコワンレンズは10/2.8しかないです。

 

レンズペン

名前を聞いて結構気になってます。レンズ分解はわりとやるので持っておいた方がいいのかな?

 

ミクロワイパー&光学専用クリーナー

CURAクリーニングセット

これはたいした金額でもないし事後報告です。これはなかなかいいですよ。無水エタノールで清掃するよりも簡単にきれいになります。カメラ屋にあって使ってみて良いなって思って買っちゃいました。

 

折りコン(折りたたみコンテナ)

百均に置いてある数百円のじゃ小さいし貧弱だし使いにくいので現場向けのちゃんとしたのが欲しいんですよね。カメラ整理もそうだし、普通に部屋を片さないとまずいので。

サンコーの30LだとちょうどA4を横にして入れられるので一時的な書類や教科書類の整理にもうってつけですね。平積みするより1000倍良い(書類・書籍の平積みダメ絶対)。

 

防湿庫

現状の防湿庫の中身

買いました。

所持ボディが20台・レンズが60本を超えて久しいですが、特に可愛がってる子たちをドライボックス2個に押し込んでる以外は結構ヤバい状態なので。一応辞書が複数冊入ってるためかこの中のレンズがカビたことは今の所無いんですけど心配ですからね。

まあ防湿庫の置き場はないし1台程度じゃ全然収容力不足なんですが……

 

Chromebook

これはほとんどiPad勢への逆張りなんですが、キーボードの取り外せるタブレット型のChromebookを買おうと思ってます。まあ安いっていうのもあります。机で動画を見ながら勉強したりするときに役に立ってくれることを期待してます。あとは譜面として(パソコンを譜面台に立てるのはちょっと恐ろしいんで)。複数のGoogleアカウント使ってるのでiOSだと微妙に不便なんですよね。

 

万年筆

少し前に買ったプレジールを愛用しているんですが(その前に買ったプレピー2本も未だ現役)、ちょっと塗装が弱くなってきたというのもあって、そろそろちょっと良さげなものにアップグレードしても良いかなぁと思い始めてます。家に大量にプラチナのインクカードリッジがあるので間に合わせでもプラチナを持っておきたいかな。金とか気になってたりはします。バイカラーニブっていいよね(関係ないけどヤマハのバイカラーのマッピも好きです。見た目だけだけど)。

 

……物欲が止まらないですね。元気な証拠です。体を壊さない程度にたくさん働いて、たくさん買いたいです。たくさん経済を回しましょう。

はじめてのコミケ ~サークル参加ルポ~

前々回の最後にしれっと宣伝してましたが、コミックマーケット101にサークル参加してきました。サークルとして参加したのは初めてなので、その軌跡を残しておきます。今後サークル参加を目指す人のために。(そして自分のために。記録が残ってると後々助かるんですよね。)

 

申し込みに至るまで

実は最初は節目のC100に出るつもりでした。しかも本は個人ではなくグループ名義で。みなさんご存じの通り延期になり、本も自分が作って仲間には手助けをしてもらう(作例をもらうなど)という形になりました。

こうなった一番の原因はリーダー不在だと思います。引っ張る人がいないんだから前に進むわけがないんですよね。あとメンバーの誰もサークル参加したことがないので進め方がわからなかったっていうのもあります。まあ仕方ない……

最終的には誰かが申し込まないといけないので、よほど慣れているわけでもないなら一人で最初から最後までやり切るのが一番いいのではと感じました。まあスペース代を一人で負ったのはちょっと痛かったけどね……

完成したサークルカット

サークルカット制作は地味に手間取りました。ホームページからテンプレートを落としてそれを加工していくわけですが、カメクラはRAW現像はしても加工なんて日常的にしないので、どのアプリを使えばいいのかすら分からず、それはもう…… 本当はクリスタとか使った方がいいんだと思いますが、そんな余裕もなくフリーソフトGimpを使ってなんとか間に合わせました。写真はメンバーにいただきました。ちなみにサークルカット制作の時点ではどんな本を作るか決まってませんでした。だから曖昧なことを書いてるわけです。

 

当落通知

当落速報のメールアドレスを設定し忘れてたので一足遅れて当選を知りました。ちゃんと確認しておこうね。そのあとの予定に結構影響するから。

あとコミケWebカタログはもう少しスマホで見やすくしてほしいですね……

 

誌面作成・入稿

新刊表表紙

これが一番大変でしたね。サークルカットもそうでしたがどのアプリを使えばいいのかわからない!スタートラインにも立てなかったんですよ。そりゃあ焦りますよね。時期的にも大学の繁忙期だったのでまあ焦りました。実際当初の予定より入稿を遅らせています。

使い慣れてるWordを使いました。文面そのものはこのブログ用に書いていたものがあるのでコピペしましたが、ブログと誌面の大きな違いとして、誌面では文量を紙に合わせて調整しないといけないんですよね。小話を挟みながらうまいこと調整しました。校正はしっかりやりました。これは高校時代に係の仕事でやっていた経験が活きましたね。多分同人誌製作も就活の時に言うんだろうなぁ。

作例問題もちょっとありました。今回紹介したレンズの中に自分が持ってないレンズが複数本ありまして。-UD Auto 20/3.5とAI 400/3.5S、あと実用級かという意味でAI 50~135/3.5Sもですね。50~135はすぐ近くに持っている人間がいたので大丈夫でしたが、前2本は少し難儀しました。20/3.5はTwitter上で呼びかけてFFさんにいただき、400/3.5もFFさんにFFさんが借りて作例を撮るということになりました。今回は誌面の都合上作例は2枚だけだったのでなんとかなりましたが、これを枚数増やしてたら…… 入稿までの余裕は多いに越したことはないです。ところで無線綴じなんだから無理に4の倍数ページにする必要なかったってところはあります(カメラ本で無線綴じって微妙?中綴じの本が大勢を占めてましたね体感ですが)。

あと商品購入と入稿は別なんで、先に購入(決済)だけ済ませておくっていうのは手だと思います(今回は校了のメドが立ってから購入し、もう一回チェックしてから入稿しました)。ちなみに僕は遅れながらもなんとか超早割で購入できたので、かなり印刷代を抑えられました。しかも入稿後、印刷所さんの方から写真のメタデータが「ノドにかぶって読みにくくなりそうだから調整した方がよいか」と(電話もいただいたんですが出られず)メールをいただきました。印刷所さんもプロなので、何かあれば連絡をくれますし、柔軟に対応していただけると思います。そういう意味でも早めに入稿した方が絶対に良いです。

印刷作業が早く終わったので(印刷作業開始のタイミングでもメールをいただけます)早くに送っていただけました。大変助かりました。感謝です。

 

当日

服装

まずは服装から。冬コミだからということでかなり気合を入れて防寒対策していったんですけど、そんなに寒くなかったです。人間は一人で40Wくらいの熱源って言われてるらしいですし、コミケってかなり人が多いので、自然にそこそこあったまるんでしょうね。夏はやばいんだろうなぁ…… 調節できるようにしていったのは正解でした。脱ぎ着ができる服装で行きましょう。

入り時間・到着まで

時間についても。8時前に国際展示場駅に到着しましたが、乗車していた車両の9割は国展で降車してましたね。最後尾車両からだと歩いてすぐのところにエスカレーターがあるので良かったですね。ここ以外の駅ではエレベーターとか使ってたんですけど、国展でだけは使おうと思っちゃいけないです。

道に関しては、周りについていけば何の問題もなく着きます。強いていうならサークルチケットは早いうちに書いておけ、というのと、自サークルのホール番号(今回は東2)は把握しておきましょう。「東V」だけだと迷います無理です。

ちなみに駅出てからの道中でいろいろ配ってます。今回は使い捨てカイロとマスクとウェットティッシュが配布されていました。こういうの地味に助かるよね。夏は衝撃を与えると冷たくなる奴が配られてたっけ。

設営

設営後

スペース到着後はまず見本誌の提出。その前に椅子の上にチラシがたくさん置いてあるので、これをしまっておくクリアファイルは用意しておいた方がいいです。見本誌票に書く番号は封筒(スペースに置いてあります)にも書いてあるので慌てずに。

スペースの設営について。クソデカポスターもそれを掲出するものも買ってなかった(間に合わなかったっていうのもあるし金欠だったってのもある)ので昔使ってた譜面台を持っていきました。これが意外とよかったですね。高さ変えられるし、見本誌も掲出しておけますから。でいて机上のスペースをとらない。目線の高さなので目にもつきやすいです。まあ合体申請してて机まるまる一つ分使えたから使えた技ではあります。椅子の前にあったら少し邪魔だし。あとサークル情報を書いた紙はA4の大きさでも十分でした。譜面台のサイズ的にもA4だとちょうどいい。メルカリの「SOLD」風「初登場」表記が目を誘ったのかたくさんの方にお越し頂けました。地名(「東V-41b」など)とサークル名とおしながきはできるだけ大きい文字で明記しておきましょう。

持ち物

(箇条書きにまとめたものを下につけていますのでそちらも参照してください)

続いて持ち物。サークル設営系のものとしては当然同人誌と上記の譜面台・ポスター(?)、あと飾り付け(?)に大量のカメラ。テーブルクロスは持っていきませんでした(というか買えませんでした)が意外になくても大丈夫でした。ここらへんは自己満足なところも大きいです。メインは同人誌ですからね。ちなみに最後のほうは机の上にごちゃっと置かれたカメラを見て寄ってきた方もいらっしゃったので結構よかったんじゃないの?って勝手に思ってます。

ただ小さな棚的なものはあるとよいです。机半分って結構狭いですからね。カルトンは2つもいらなかったです。ただミニレジ的なやつは3,300円も払って買っただけのものがあった気がします。百均のはお札が入らないんですよね。あの空間には来た方の名刺とかを入れておくこともできるので便利です。お札も折らずに入るのは正義。お札を出す方は想像以上にいます。釣銭は500円玉を6枚持っていきましたがこれくらいで丁度でした。最初のほうに来る方は歴戦の猛者なので500円玉を棒金で持ってきてます。こっちまで棒金を用意する必要はないです。500円玉が10枚を超えて手元にある状態になることはありませんでした。ちなみに両替はゲーセンへGO。

椅子に置くクッションも持っていきました。でもそんなに座ってる時間って長くない(僕の場合)のでなくても困りはしないかな。荷物に余裕があるならあってもいいかも。あとはシルボン紙(トレーシングペーパー)。これは人に頼まれて買った本を包んでおくためのもの。百均のA3のが一つあるだけで何かと役に立ちます(B5判まで包めます)。養生テープと普通の紙テープは持っておきましょう絶対に役に立ちます。あとは飲み物と食い物。

ご挨拶

ご近所様との付き合いについて。どこかのタイミングでご挨拶しましょう。お互いに設営終わって落ち着いたころがいいですかね。かなり時間あまるはずですから。途中で帰らない方なら人も途切れた終了15~30分前あたりでもいいかも。こういう時に名刺があるといいですね、新刊の押し付けにならずに済みます。向こうの新刊がこっちのものと同じ価格を設定しているとは限らないですから。まあでも今回はうまくいきました。名刺だけじゃなく首から下げる名札もあったほうがよかったです。自分は無名だからとか謙遜せずに、名札はちゃんと作っておきましょう。

持ち物まとめ

まとめます。

  • 調節できる防寒具(冬コミの場合)
  • キャリーバッグや転がせるもの
  • 準備会からの封筒(サークルチケット・見本誌票 見本誌票は家で貼っていっても良い)
  • クリアファイル
  • 譜面台(紙を立てておけるもの)
  • ポスター・おしながき
  • 小さな棚
  • カルトン
  • ミニレジ
  • 釣銭
  • テープ
  • 飲み物・食べ物
  • 名刺・名札

 

撤収

カメラ島は鉄道島のすぐとなりでした。鉄道島といえば大晦日の三本締め&万歳三唱。結構近くで体感できました。ほかにも一斉点検も3回聴けましたし聖地巡礼感ありますよね。せっかくなら最後までいた方が絶対に良いです。

閉会後間もない会場内に進入するトラック

千穐楽は閉会するなりすぐ撤収作業が始まります。閉会30分前くらいから少しずつ撤収作業初めて大丈夫だと思います。閉会してすぐに後ろのほうにトラックが入ってきてびっくりしました。

帰宅もまわりの流れに乗るのが正解ですね。そんなに混まないですから。

あと大晦日の夜なんてやってるお店限られてるので予約なしでどこかでご飯食べようっていうのは無謀な作戦だってことを頭の片隅に置いておきましょう。Googleマップに騙されるなかれ。

 

カメクラとして

まだまだ青いなって思いました。僕はカメラというよりはニコンというかニッコール千夜一夜物語専攻のオタクなので、他マウントについてはさっぱりなんですよね。結構貴重なお話もあったんですがわからず……ということがちょこちょこありました。もったいなかった。勉強します。でもニッコール千夜一夜物語については誰にも負けないです。そこだけは譲れない。

千夜一夜の人としては、お隣のサークルさんが世界初の135判ズームレンズ「Voigtländer Zoomer 36~82/2.8」を持ってきていたのに、そして今回の新刊でヨンサンパーロクを取りあげているにも関わらず、レンズを持ってこなかったのはかなりもったいなかったなって思いました。640Fに-S Auto 5cmF2なんて持っていくから……(それはそれでよかった)

 

収支

最終的に35部頒布しました。最初から想定外のスピードで出て行ったので正直ビビりました。僕自身は数値目標は立ててなかったというか数字にはあんまり興味なかったですが、売り子に来てくれた親しいFFさんなんかは「10出るだけでもすごいのに」って言っていました。初参加ですからね。ありがたいことに印刷代は回収できました。50部刷って16部余部があって(余部増量キャンペーン中だったらしいです)66部手元に来ましたが、もう半分以上出ています。ありがとうございます。30だったらとうに売り切れてました(一部あたりの単価と総額のバランスと勢いで50にしたんですよね)。弊スペースにいらしてくださった方、ありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。

カメラのアクセサリを収集してる話 GR-N2000 & ニコワンについて思うこと

みなさんはニコワンについてどう思いますか?

ニコワンといえば、ニコンが2011年から販売していた、ニコン1マウントを搭載したボディ・レンズのことです。センサーサイズは1型(換算係数2.7、アスペクト比2:3)、バックフォーカス17mmのミラーレスボディ、完全電子マウント。1型ですのでユニバーサルマウントの4/3・m4/3(4/3型)よりは少し小さいです。

スペックは割とアリだと思うんですが、m4/3とは対照的に、新システム登場の波に揉まれニコン1マウントは遂に姿を消してしまいました(PENTAX Qと共に)。実際僕も一般人の方がニコワンを使っているのは一度しか見たことがありません。一度はあります。

悲しい歴史を持つニコワンですが、ならばモノが悪かったのかというとそんなことはないと思います(だからこそニコワンを愛でたいのです)。実際、ニコン1マウントには超広角から超望遠までをカバーする専用のレンズ群が用意されていますし、単焦点も3本出されています(うち一本は現在でももっとも明るいAF単焦点ニッコールの一本です)。

そして、周辺機器もそれなりに頑張っていました。速写ケースはもちろん、外付けのグリップなんかも販売していました。

Nikon J1 (GR-N2000) + 1 NIKKOR 10mm 1:2.8

これでやっと今回の主役の話になります。GR-N2000はNikon J1およびJ2向けの外付けグリップで、特に電気的には何も無いアクセサリです。そもそも収集に手間のかかるアクセサリですが、数が出てないニコワンらしく余計に姿を見ないレアもので、ヤフオクやメルカリでも出品は僅かしかありません(しかも本体よりも高いことも)。私も見つけるのに苦心しました。

見れば分かると思いますがグリップはそんなに深くないです。本体とのバランスがの問題が大きいんでしょうな…… Z 30くらいの深さがあったらグリップがデカくなりすぎてあまりにも不恰好にはなりそうですが、E4300やV2くらいはあってもよかったのでは、とは思うところではあります。

初めて握った時は「???」となりました。いつもD200などの深いグリップを握ってきたので、これは浅すぎて使い物にならない、飾りに過ぎないと感じました。しかし物のありがたみというのは無くなった時に初めて気がつくもので、しばらく使い続けたあとでグリップを外してみたときにホールドのしにくさに驚きました。ただでさえ片手で使うことの多い小型カメラなので、ないとあるでは大違い。あるほうが27倍いいです。

Nikon GR-N2000

いくつか欠点もあります。まずは入手性の悪さ。上で取り上げた通りです。次に、三脚座が光軸からズレます。AH-3の逆のようなことをしてる感じですね。三脚に載せるような時にゃ外せということです(J1を三脚に載せる人なんているの?とは聞かないこと)。また、電池室兼メディア室へのアクセスが悪くなります。グリップはネジのついたただの板のようなもので穴などは空いていません。つまりグリップを取らないと電池交換やメディアの取り出しができません。地味に不便です。それでも付けるんですけどね。

入手性と引き換えに趣味性は非常に高いので、お手元にある、又はこれからお手元に来るJ1/J2のために探しておきましょう。

 

ニコワンの話に戻りますが、ひとつニコワンの理解を提案してみたいと思います。

千夜一夜玉の人」らしく千夜一夜の記事を引用すると、

今は生産を終えたEシリーズであるが、Eシリーズで取り組んだ、エンジニアリングプラスチックの採用、生産性の向上によるコストダウンといった要素開発は、その後のニッコールレンズの開発にはなくてはならない重要な技術であった。
https://www.nikon-image.com/enjoy/life/historynikkor/0042/index.htmlより

との考え方です。ニコワンに適用させると、『今は生産を終えたニコワンであるが、ニコワンで取り組んだ、完全電子マウントの採用*1やSTM(ステッピングモーター)の採用*2、ハイブリッドAFの採用*3といった要素開発は、今日のニコンカメラ・ニッコールレンズの開発にはなくてはならない重要な技術である。』でしょうか。脚注を加えましたが、どれもまさに今日のカメラに欠かせない重要な技術だと断言できます。

ニコワンの存在がZシリーズへの壮大な伏線だった*4というのはさすがに無理があるかもしれませんが、ニコワンの開発に際して取り組みそしてニコワンに搭載した技術が、FマウントDシリーズ円熟期やZシリーズの開発・発展に大いに役立った、といえそうです。Eシリーズといいアドバンストフォトシステム*5といい、こういった存在が認識すらされずに忘れられていくのはなんとも悲しいことです。

……ニコワンレンズが千夜一夜に取りあげられることを心待ちにしています。

 

ちなみに毎回半角のニコワンと打ってるのはなんかかわいいからです。それだけ。

*1:2013年にEタイプレンズが登場しFマウント(PCニッコールを除く)で完全電子マウントを達成、Zマウントも完全電子マウント

*2:Fマウント(AF-Pレンズ)は2016年から。ZマウントニッコールはすべてのAFレンズでSTMを採用している

*3:従来のコントラストAFに加え像面位相差AFを初搭載。今日のミラーレスカメラにはなくてはならない測距技術で、Zボディのすべてが搭載

*4:ニコンはまれに新技術を投入した下位機種を市場に送り込んで反応を見ることがある。Nikomat EL(絞り優先AE初搭載)やF-301(初のワインダー内蔵機)、F-501(カップリングAF初搭載)、ニコンズーム700VR QD(VR初搭載)など

*5:Advanced Photo System。現在のExifヘッダの原型が誕生、"APS-Cサイズ"という言葉はAPSフィルムプリント用のクラシック(C)サイズの名残。cf.第75夜

ズームマイクロニッコールの光学変倍・合焦方式について考える

ご無沙汰しています。わかばだいです。

ズームマイクロニッコール(AI Zoom-Micro NIKKOR ED 70-180mm 1:4.5-5.6S)の摩訶不思議なズームタイプについて、ある程度納得のいく解釈を見出せたのでまとめてみたいと思います。

www.nikon-image.com

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ズームマイクロは、その名の通りズームするマイクロレンズです。レンズ単体での等倍撮影こそできませんが、一般的なズームレンズの比ではない最短撮影距離0.37m、最大撮影倍率1/1.32(約0.758)倍を達成しています。今でもなお暴力的な値です。それでもAI AF 80-200/2.8D<New>より体感で小型なレンズに仕上がっています。比較的暗いように感じられるスペックですが(そもそもマイクロレンズはそうでないレンズより1~2段暗いのが常です)、短距離時の露出係数を考慮する必要がないので、単焦点のマイクロと比べても実用上遜色ない明るさになっていたりします。

 

ズームレンズはとりあえず2種類に分けられます。凹群先行・凸群先行の二つ。凹群先行は広角域を含むズームレンズで用いられることが多いですよね。

Zoom-Microは凹凸凹凸の4群構成になっていますが、AI AF 35-70/2.8Sとは少し違います。Web版の図に直接書き込まれているように、Zoom-Microは前の2群で合焦し、後の2群でズームします。これによってズーミングで第一レンズの位置が変わらない光学設計を達成しているわけですが、これは4群全体でズームする35-70/2.8のズーム方式では達成できません。

ズーミングで光学系の全長が変わらないズーム方式といえば凸群先行の凸凹凸凸4群アフォーカルズームが思い浮かびます。実際AI AF-S 80-200/2.8Dほか多くの80-200mm級大口径望遠ズームレンズがこの方式を採用しています。ではなぜZoom-Microはこれでないのか?それは"Micro"だからだと思われます。35-70/2.8の記事で言及されていますが、凸群先行ズームは望遠側での光学設計がしやすい利点があり、先頭凸群が光を収斂するので後群の構成を小型にできます。またテレフォトタイプ(凸-凹)のことを考えれば、先頭に凸群を配置することが一般的に合理的であると考えられます。

しかしながらこれは"Micro"。当然ながら最短撮影距離は短くないとなりませんし、接写時でも充分な光学性能を発揮できる必要があります。第1群フォーカスはいくつかの問題を抱えています。AI 35~200/3.5~4.5Sの回で指摘されているように、周辺光量を稼げないことや前玉が大型化してしまうことが挙げられます。そしてなにより致命的なのが、最短撮影距離を稼げない点です。寄れないレンズにマイクロの冠はつけられません。こういった理由で、Zoom-Microはネガティヴリード(凹群先行)ズームになったと考えられます。

ここでE75~150/3.5を振り返ってみましょう。凸凹凸凸4群アフォーカルズームのお手本のようなレンズです。先頭が合焦群、第2群が変倍群、第3群が補償群、第4群がマスターレンズです。簡単に言えば前の3つの群が可変倍率のフロントコンバージョンレンズで、第3群を出る光線は光軸に対して平行(アフォーカル)です。これをZoom-Microにあてはめて考えます。前2群がフロントコンバージョンレンズ、後2群がマスターレンズ、ということです。こうなると2つの凹凸2群ズームが見えて来ると思います。

後2群は普通の凹凸2群ズームです。75~150/3.5よろしく結構簡単な構成になっています。まあAF 28-80/3.3-5.6Gよりは構成枚数多いですけどね。どちらかといえばAF-S DX 12-24/4Gになんとなく似ています(後群の凹レンズが貼り合わせになっているところとか特に)。明るさやズーム倍率(2.57x)を無理していないので比較的コンパクトです。前群と後群の径が概ね同じところに、AF-S DX Micro 40/2.8Gのような「レトロフォーカス度」の弱いレトロフォーカスレンズの特徴を見出すことができます。

前2群が合焦群(『マイクロ部』)です。凹凸2群ズームの構成になっています。合焦の仕組みはズーミングと同じです。Medical 120/5.6の回にあるように、「変倍する」ということはズーミングもフォーカシングも同じことです。そもそもズームレンズの補償群は変倍群による変倍によって生じた像面の位置変化を補正し像面位置を固定するために存在しています。これを省き、変倍によって像面の位置を動かすのがIFの単焦点なわけです(合焦とはすなわち像面位置の変化です)。Zoom-Microの前群では、凹凸2つのレンズ群の位置関係を変化させることによって変倍し、補償せずにマスターレンズ群に送り込んでいます。これによって像面の位置を変え、ピントを合わせることができるわけです。

 

というわけで、前2群が無補償の凹凸2群ズーム、後2群がズームのみの(ピント合わせはしない)凹凸2群ズーム、と説明できます。自分では納得いっているのですが、いかがでしょうか。

……それはそうとズームマイクロほしい。

 

P.S.

コミックマーケット101に応募してみたら当選しちゃいました。同人誌作成は初めてになります。千夜一夜本(書き下ろし)の頒布を予定しています。二日目東V41bでお待ちしております。

ズームレンズあれこれ第四回「アフォーカル」

このシリーズもかなり間が空いてしまいましたが、今回は第三回の続きで本当の「通しF」ズームを見ていきます。

 

一番最初に買ったフィルムカメラがEM(とFE不動)だったおかげで、僕はEシリーズレンズに造詣が深いので、今回もEシリーズレンズを出していきます。

Nikon LENS SERIES E 75~150mm 1:3.5 (旧外装)

Eシリーズの3本のズームの中で最初に出たレンズで、Eシリーズらしい旧外装(飾り環)のものも存在します。

E70~210/4もそうですが、この子達はズームしてもレンズ(光学系)全長が変わりません。レンズを覗けばズーミングが分かりますが、レンズ長だけでは判断がつきません。

このレンズタイプは凸凹凸凸の4群構成ですが、43~86の流れの全群移動の4群ズームとは別物で、「4群アフォーカルズーム」と呼ばれます。詳細については、千夜一夜第四十二夜で大下氏が、第六十七夜で佐藤治夫氏が解説しておられますのでそちらに任せますが、簡単に言えば前3群が可変倍率のフロントコンバータで第4群がマスターレンズになっています。第3群を出る光線が光軸に平行(アフォーカル)を保ち続けることから、4群アフォーカルレンズと呼ばれます。

このレンズタイプは、Zoom Auto 80~200/4.5からスタートして、Ai 80~200/4.5やAi 80~200/4S、Ai AF 80-200/2.8D、Ai AF-S 80-200/2.8Dなどを経てAF-S 70-200/2.8Gへと受け継がれています。IF化したとはいえ基本的な思想は変わっていません。Z 70-200/2.8 Sも概ね同じだと思います。今でも中望遠大口径ズームの最大勢力です。

ユーザーとして嬉しいのは、古めのレンズでも高画質と大口径を望めることです。FFさんがD800にE75~150/3.5を装着して撮影したところ、その狭いビットレートをも上回るほど解像したとか。(さすが大下氏をして「単焦点に引けを取らない」とまで言わしめるだけのものがあるなぁと思います。)現在の「大三元レンズ」と言われる3本組のF2.8通しレンズの中で最も早く登場したのも80~200/2.8です(Ai-S代。標準が2番目で、35-70/2.8がAi AF ~S代に登場しその後徐々にワイ端を広角化。14mmスタートのズームレンズの登場はフルサイズデジの時代まで待たなければならない)。バックフォーカス長の制約の相対的な小ささや大口径望遠ズームの需要の大きさに後押しされたのでしょう。実際F型最初のズームレンズはAuto NIKKOR Telephoto-Zoom 8.5cmF4~25cmF4.5ですからね。