リトルニコ爺の手記

わかばだいとかいうハンネでTwitterをやってる人が昔やってたYahoo!ブログから引き継いでリスタートした沼みの深いブログ。

カメラのアクセサリを収集してる話 GR-N2000 & ニコワンについて思うこと

みなさんはニコワンについてどう思いますか?

ニコワンといえば、ニコンが2011年から販売していた、ニコン1マウントを搭載したボディ・レンズのことです。センサーサイズは1型(換算係数2.7、アスペクト比2:3)、バックフォーカス17mmのミラーレスボディ、完全電子マウント。1型ですのでユニバーサルマウントの4/3・m4/3(4/3型)よりは少し小さいです。

スペックは割とアリだと思うんですが、m4/3とは対照的に、新システム登場の波に揉まれニコン1マウントは遂に姿を消してしまいました(PENTAX Qと共に)。実際僕も一般人の方がニコワンを使っているのは一度しか見たことがありません。一度はあります。

悲しい歴史を持つニコワンですが、ならばモノが悪かったのかというとそんなことはないと思います(だからこそニコワンを愛でたいのです)。実際、ニコン1マウントには超広角から超望遠までをカバーする専用のレンズ群が用意されていますし、単焦点も3本出されています(うち一本は現在でももっとも明るいAF単焦点ニッコールの一本です)。

そして、周辺機器もそれなりに頑張っていました。速写ケースはもちろん、外付けのグリップなんかも販売していました。

Nikon J1 (GR-N2000) + 1 NIKKOR 10mm 1:2.8

これでやっと今回の主役の話になります。GR-N2000はNikon J1およびJ2向けの外付けグリップで、特に電気的には何も無いアクセサリです。そもそも収集に手間のかかるアクセサリですが、数が出てないニコワンらしく余計に姿を見ないレアもので、ヤフオクやメルカリでも出品は僅かしかありません(しかも本体よりも高いことも)。私も見つけるのに苦心しました。

見れば分かると思いますがグリップはそんなに深くないです。本体とのバランスがの問題が大きいんでしょうな…… Z 30くらいの深さがあったらグリップがデカくなりすぎてあまりにも不恰好にはなりそうですが、E4300やV2くらいはあってもよかったのでは、とは思うところではあります。

初めて握った時は「???」となりました。いつもD200などの深いグリップを握ってきたので、これは浅すぎて使い物にならない、飾りに過ぎないと感じました。しかし物のありがたみというのは無くなった時に初めて気がつくもので、しばらく使い続けたあとでグリップを外してみたときにホールドのしにくさに驚きました。ただでさえ片手で使うことの多い小型カメラなので、ないとあるでは大違い。あるほうが27倍いいです。

Nikon GR-N2000

いくつか欠点もあります。まずは入手性の悪さ。上で取り上げた通りです。次に、三脚座が光軸からズレます。AH-3の逆のようなことをしてる感じですね。三脚に載せるような時にゃ外せということです(J1を三脚に載せる人なんているの?とは聞かないこと)。また、電池室兼メディア室へのアクセスが悪くなります。グリップはネジのついたただの板のようなもので穴などは空いていません。つまりグリップを取らないと電池交換やメディアの取り出しができません。地味に不便です。それでも付けるんですけどね。

入手性と引き換えに趣味性は非常に高いので、お手元にある、又はこれからお手元に来るJ1/J2のために探しておきましょう。

 

ニコワンの話に戻りますが、ひとつニコワンの理解を提案してみたいと思います。

千夜一夜玉の人」らしく千夜一夜の記事を引用すると、

今は生産を終えたEシリーズであるが、Eシリーズで取り組んだ、エンジニアリングプラスチックの採用、生産性の向上によるコストダウンといった要素開発は、その後のニッコールレンズの開発にはなくてはならない重要な技術であった。
https://www.nikon-image.com/enjoy/life/historynikkor/0042/index.htmlより

との考え方です。ニコワンに適用させると、『今は生産を終えたニコワンであるが、ニコワンで取り組んだ、完全電子マウントの採用*1やSTM(ステッピングモーター)の採用*2、ハイブリッドAFの採用*3といった要素開発は、今日のニコンカメラ・ニッコールレンズの開発にはなくてはならない重要な技術である。』でしょうか。脚注を加えましたが、どれもまさに今日のカメラに欠かせない重要な技術だと断言できます。

ニコワンの存在がZシリーズへの壮大な伏線だった*4というのはさすがに無理があるかもしれませんが、ニコワンの開発に際して取り組みそしてニコワンに搭載した技術が、FマウントDシリーズ円熟期やZシリーズの開発・発展に大いに役立った、といえそうです。Eシリーズといいアドバンストフォトシステム*5といい、こういった存在が認識すらされずに忘れられていくのはなんとも悲しいことです。

……ニコワンレンズが千夜一夜に取りあげられることを心待ちにしています。

 

ちなみに毎回半角のニコワンと打ってるのはなんかかわいいからです。それだけ。

*1:2013年にEタイプレンズが登場しFマウント(PCニッコールを除く)で完全電子マウントを達成、Zマウントも完全電子マウント

*2:Fマウント(AF-Pレンズ)は2016年から。ZマウントニッコールはすべてのAFレンズでSTMを採用している

*3:従来のコントラストAFに加え像面位相差AFを初搭載。今日のミラーレスカメラにはなくてはならない測距技術で、Zボディのすべてが搭載

*4:ニコンはまれに新技術を投入した下位機種を市場に送り込んで反応を見ることがある。Nikomat EL(絞り優先AE初搭載)やF-301(初のワインダー内蔵機)、F-501(カップリングAF初搭載)、ニコンズーム700VR QD(VR初搭載)など

*5:Advanced Photo System。現在のExifヘッダの原型が誕生、"APS-Cサイズ"という言葉はAPSフィルムプリント用のクラシック(C)サイズの名残。cf.第75夜