突然ですが数学の話です。中の人は現在高2です。今回は主に数Ⅱの三角関数についてのお話。
三角比、三角関数。高校数学の醍醐味みたいなところありますよね。実際数Ⅰでも数Ⅱでもそこそこのウエイトを持っていますし、数Bでも出てきたりします。
さて、三角比と三角関数は、そもそも正弦(sin)・余弦(cos)・正接(tan)と三つ定義されていたり、公式の類もそれぞれに与えられてたりして(しかもそれが符合違いだけだったり)数学の中でも覚えることの多い分野なのかな?と思います。三角比の相互関係の三つだけでいっぱいいっぱいみたいな人も少なくないのではないでしょうか。
僕は暗記がめっぽう弱く(趣味は別腹ですからね)、現代史とかちょっとやばい人なんですが、しかし三角関数にはそこそこ強いです。なぜなら覚えなくても出てくるから。
じゃあどうやってんのかって話なんですが、たとえばみなさん の値覚えてますか?まあ くらいなら覚えちゃうと思いますが、ぶっちゃけ僕は覚えてないです。正弦と余弦の値は時計の文字盤を見て考えてます。
を拡張したときに単位円を使ったことを利用するのです。見よ、よくあるシンプルなアナログ時計はきれいな円になっていて、しかも ごとに目盛が入っています。すばらしい!中心から3時の方向を始線と定めれば動径も考えられます。正弦は動径と単位円の交点のy座標、余弦はそのx座標と考えられますから、時計の文字盤を見れば 毎の正弦と余弦を導けるのです(、)。なので試験時間中どころか数学の時間はやたらと教室の時計を見てる不審者になってます(笑)
正接は動径の傾きってことがわかればもうそれだけですね。有名角では と と と およびそれらの符号違いしか出てこないことくらいは確認しておきましょう(まあ考えれば分かりますが)。あとは図を描いてを動かすときには、は動径ととの交点と考えたほうが視覚的にとらえやすいと思います。
時計を使うこのやり方はたとえば
みたいな問題にも強いです(この時の解は となりますね)。三角関数の値を視覚的にとらえることができるので間違えにくいのです。正負も一発で分かりますからね。
また、三角関数の合成の時には正弦と余弦の値が与えられてそこから角を出しますが、その時にも時計が活躍します。のとき、1か-1をとっていなければ正弦と余弦は2つの角の可能性がありますが、どちらかで二つに目星をつけ、もう一方の符号で確定させる。そうすれば頭で考えるよりも速く正確に角を導けます。
コツは他にもあります。三角関数において必ず覚えておきたいのが、
という等式。こいつがあれば、覚えるべき式の量を実質2/3倍にできます。ちなみに三角比の相互関係の
も、
の両辺をで割って整理すれば導出できます(ですからね)。この両辺だったり分母分子だったりにだかだかをかける、というのはだけで表したいときにはよく使うので覚えておくと良いでしょう。ただ必ずしもだけの形にしなければいけない、というわけでもないです。
また、正弦と余弦の加法定理さえ覚えておけば、相互関係の
(これも円の方程式 を知っていれば当然すぎて覚える必要ないです)と
を使って正接の加法定理、すべての二倍角の公式、そして半角の公式まで導出できます。(ちなみに発展的に三倍角の公式を導出したりもできます。) のときの加法定理は単に の に を入れればいいだけの話なんで覚えるのは の時の正弦と余弦の加法定理(と相互関係2つ)だけ。多少面倒でも、4つの式から14の式が導けます。覚え間違えの心配も減らすことができます。こうして暗記量をぐっと減らしているのです。
数学はいろいろな公式(という道具)と論理的な説明で解を求めたり証明したりする教科です。暗記して強くなる教科じゃないと思うし、だいいち数学を暗記してたらつまらんのです。暗記だけじゃ新しい公式を考えたりとかできないし。そもそも数学って「これをこう定義するとこんなこと(定理)が言えるね」って考え方をする教科だと思ってるので、仕組みを理解するようにするのが近道です。
おまけですが、公式(特に定義式)は日本語で理解していくようにしていくといいと思います。 を呪文のように暗記するのと、を見て「aをMにする指数がp」であることを認識できるのとでは大きな差があります(とつぜん対数出してきちゃってごめんなさいね)。後者であれば、少し考えればa,M,pそれぞれの条件を確認できますが、前者の暗記方式だといちいち「aは1でない正の数、pは実数全体、Mは正の数」というのを別途で覚えなければならないのです(しかも拡張したときに面倒)。数学は暗記教科ではないです。意味のない暗記はやめましょう。