リトルニコ爺の手記

わかばだいとかいうハンネでTwitterをやってる人が昔やってたYahoo!ブログから引き継いでリスタートした沼みの深いブログ。

ズームレンズあれこれ第二回「ワイ端で長いレンズ、テレ端で長いレンズ(前編)」

前回の続きです。

 

ズームレンズはズーミングで光学系の長さが変わるレンズと変わらないレンズがあるということは前回紹介しましたが、前者はもう少し細かく分類できます。

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Zoom-NIKKOR.C Auto 1:3.5 f=43~86mm / Nikon LENS SERIES E 36~72mm 1:3.5

Ai 43~86/3.5とE36~72/3.5、この似たようなスペックの2本の標準ズームレンズを並べたときに、ある時疑問に思いました。43~86は光学系最小の時ワイ端で、36~72は光学系最小の時テレ端なのです。

実はこの2レンズは根本的なズーム方式が異なります。

43~86の光学系はズームの動き上3つに分けることができます。物体側から凸凹凸(つまり凸先行型)で、二群がフィルム面に固定のまま一群と三群が移動してテレフォトっぽくなったりレトロフォーカスっぽくなったりします。

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Ai AF 35-105/3.5-4.5S

この凸凹凸3群ズームは後に全群移動の凸凹凸凸の4群ズーム(Ai 35~105/3.5~4.5Sなど)や凸凹凸凹凸5群ズームに進化していきます。43~86では3つの群しかなかったためにワイ端での負(樽型)の歪曲やテレ端での正(糸巻き型)の歪曲が目立ちましたが、群が増えた後世のズームでは比較的安定した写りを期待できます。

AF-S DX代においては、18-70Gや18-135Gなど、少しテレ端が長めのレンズによく見られます。43~86の時代には43mmまでしか広げられなかったワイ端の画角を、後世では24mm(Ai AF 24-120Dなど)まで広げることが出来るようになったのです。今でも中高倍率標準ズームの代名詞的な光学構成になっています。

 

36~72は次回。お楽しみに。