リトルニコ爺の手記

わかばだいとかいうハンネでTwitterをやってる人が昔やってたYahoo!ブログから引き継いでリスタートした沼みの深いブログ。

機材紹介:Nikon Nikomat FTn

こんにちは。

外に出ようにもないので、とりあえず家の機材を愛でるとしましょう。

(モノ撮り楽しすぎて写真多めです。お許しください。)

 

Nikomat FTN

Nikomat(ニコマート) FTN。有名な「ニコンじゃないニコン」です(その理由はEシリーズレンズと同じ)。発売はFマウント黎明期なのですでに半世紀を数えていますが、中古市場は潤沢で比較的安価に入手できる露出計内蔵・機械式の中級機です。確かに半世紀も前のカメラですから、保存状態の悪い個体(ウチの子もそう)・アタリのある個体(ウチの子もそう)や露出計が馬鹿になってしまっている個体(ウチの子もそう)もありますが、シャッターの切れない個体というのはまず聞いたことがありません。というのもめちゃくちゃ頑丈なのです。確かにその分重たいですが。

 

スペック

135フィルム用(ライカ版)マニュアルフォーカス一眼レフカメラ

機械式金属幕縦走りフォーカルプレーンシャッター B, 1”~1/1000”(1/250”以上の高速シャッターで中間速使用可、それ以外は一段階 全速マニュアル操作) 同調速1/125″

ニコンFマウント系・(開放F値半自動入力)旧連動方式(爪のあるニッコールレンズで露出計連動、絞り環のあるFマウントレンズすべてが絞り込み測光が使用可。固定絞りでなく且つ絞り環のないレンズは使用不可)・ミラーアップ可・被写界深度確認可

露出計連動(中央重点測光・指針中央合致式マニュアル露出)(使用電池:MR-9 1コ・底蓋)

 

出で立ち

Nikomat FTNはNikomat FTの後継機。Wikipediaによれば測光方式が中央重点に改められ、また旧連動方式の露出計連動における開放F値設定が半自動方式(いわゆるガチャガチャ)に改められ、機能性を向上。

(F用フォトミックファインダーFTNも半自動方式だけど、モノが全くちがうぞ!あれはあくまで交換ファインダーだ!でNikomatはカメラそのものだ!)

 

操作

マウント周辺-右手側 SS=1/125″の状態

操作系として特筆すべきは、シャッタースピードダイヤルがマウント周辺部にあること。これを回転させてSSを決定します。SSは外部(銀ポッチのところ)及びファインダー内から確認可能。

指針中央合致式の露出計は中心が適正露出を示すので、針の位置を見ながらSSと絞り環を操作し、針が中央を指すように設定します。初心者だとちょっと頭を使わないといけないかも。

巻き上げレバーの予備角は露出計の電源になっています(シャッターロックはなし)。

巻き戻しボタンを押下したままシャッターチャージで多重露光可。

ASA(ISO)感度設定ノブはSSリング?上にあります。硬いです。すごく。

本体底面

 

使い勝手

手元の個体はCdSセル(要は内蔵露出計)が馬鹿になってしまっているので外部の露出計(スマホ)を参考に露出を決定していました。そのため露出計の正確さなどは分かりかねます。

ちなみにカメラのレリーズ部には(買った時からついてた)ソフトレリーズ?をつけてあります。ねじ込み式のレリーズとかその他アクセ類使用可です。悪しからず。追記: AR-1やAR-2などのタイプのレリーズアクセも使用できます。

軍艦部・裏蓋 露出計電源オフの状態

SSリングがマウント周上にあると面白いですね。マニュアル操作が基本なので、軍幹部に指をかけてSSを指定するよりも安定した操作ができる気がします。その代わり左手の操作が多くなりますね(レンズの絞り環やピントリングも操作するため)。ともかくおもしろい機構です。SSリング以外は標準的な操作で扱えます。

巻き上げは重めですが、しっかり巻き上げている感覚があっていいかなと思います。ただ、予備角で露出計は電源OFFになってもシャッターロックが利くわけではないのがちょっと残念かもしれないです。まあ昔のものの不便さに文句言ってはいけませんね。カバンにしまうときには直前のカットを撮った後に巻き上げないでおくとよいでしょう。

ニコンのガチャガチャ。f/5.6の状態でレンズをつけたら絞り環を最小まで回し、その後開放まで回す。この操作によってカメラ本体に開放F値を伝達します。めんどくさく思えるかもしれませんが、これが楽しいんですよ。レンズを付け替えるわけでもないのにレンズを外してつけてを繰り返してしまいます。またFTNは「ガチャッ」といい音が鳴るんですよね(個体によって異なるかもしれませんが…)。撮影に直接かかわる話じゃないんですけど。「ガチャガチャ」ならではの楽しみです。

ファインダー内表示 SS=1/125″の状態 露出計ローキー表示

(写真のファインダー内、結構汚れていますがお許しを。)

ファインダーはマイクロプリズム(ELのようにスプリットファインダーの個体もあるかも…?)。個人的にはスプリットのほうが分かりやすいのでちょっと微妙ですがまあ好みですから。尚交換不可らしいです。右側にあるのが露出計の指針で、この針が中央に来るところが適正露出です。下に表示されているのがSS。選択している数字(白)とその両隣の数字(黄色)が表示されます。なおファインダー内からF値を確認することはできません。

メモホルダーが無いのはちょっと痛いですね… まあさすがにフィルム入れてる個体と入ってるフィルムは覚えるようにしてますが。

なお、下の写真を見て「ホットシューがない……個体差?」と思うかもしれませんが、どちらも同じ個体です。ホットシューはアクセサリとしてファインダー窓の接眼レンズで固定されているに過ぎないので取り外しが可能です。その代わり接点はありません。コードを使用してください。(ホットシューがないカメラっていう点でも時代的に貴重ですね。見た目スッキリしてるし。)

 

あとがき

Nikomat FTN + NIKKOR-H Auto 1:2 f=50mm

まる半世紀以上前の製造で今から見ると不便な所もありますが、そういう意味でもより旧連動時代のFマウントカメラ・レンズを楽しめるカメラだと思います。なにせ爪付き非Aiニッコール開放測光で露出計連動するのはF・F2*とNikomat FT・FTN・FT2およびNikomat EL・ELW**だけなのですから。オートニッコールレンズを持ってて、且つ簡単なモルトの張り替えなどができる方はぜひ買ってみるといいと思います。

*) 露出計のないアイレベルファインダーとウエストレベルファインダー、Ai方式のF2用ファインダー フォトミックA・ASを除く

**) 絞り優先AEが使用可 ただし電子式シャッター(そのほかは機械式)

 

作例1

ちなみに世代標準レンズはだいたい NIKKOR-H Auto 1:2 f=50mm ですかね。レトロさを求めるならN.K.J.刻印の入ったレンズを、写り重視ならコーティングされた"NIKKOR-H.C"のものを買うとよいでしょう。このレンズの写りもなかなかいいですよ(作例1は開放絞りで撮影)。ちなみに、上の写真群の中で装着している富士山型の爪のレンズは ーQ Auto 1:2.8 f=135mm です。

 

今回は一眼レフ黎明期の中級カメラについてざっくりみてきました。(やや)変わった機構だしとにかく頑丈なので、ジャンク箱に転がってたら一回触ってみてほしいカメラの一つです。持つだけで幸せになれます(重いから…)。ぜひ。